前回

 これまでのあらすじ

 御使堕しの後遺症でインデックス萌えになってしまった佐天さん。
 学園都市の外へうっかり出てしまうが、そこで五和(いつわ)という人物に出会う。

 それから色々あってオルソラ教会を舞台にした上条達&天草式VSアニェーゼ部隊の戦闘に参戦。
 佐天さんも金属バットでアンジェレネを撃破する

 だがジリ貧になった上条達は戦いの元凶である「法の書」をオルソラに発動させようとした。
 だが、実はオルソラの解読法はダミーだった事を知る。

 最後の賭けとしてステイルの必殺魔法「魔女狩りの王(イノケンティウス)」を使って敵のシスター達を降参させようとしたのだった。
 その為には戦いながらルーンのお札を張る必要がある。
 インデックスはその趣旨を五和に伝える。

 だが今まで数が多いアニェーゼ部隊に奮戦してきたはずの五和はここに来てチキンになる。

「む、無理ですよ……こんなことしても本当にこの状況がよくなるか分かんないじゃないですか!もし向こうが特攻を仕掛けてきたらそれで終わってしまうかもしれないんでしょう!?」

 そこに通りすがりの上条さんが現れたのだった。

「何やってんだよ、お前ら……」

 ぶっちゃけ「上条がアニェーゼにタイマン張りに行く直前の話」である。

 〜〜〜〜〜

「あ、貴方は……噂によると女教皇(プリエステス)様を殴り飛ばしたという幻想殺しの上条さん……」

 注・殴り飛ばしてません。上条がねーちんに説教したら逆ギレされました。そしてねーちんにフルボッコ食らった上条は三日寝込みました。

「ああ、そうだよ。俺が上条だ」

 注・これは本当。

 上条は五和に向かって己の思う事をありのまま語る。

「確かにな。俺だってこれがやけっぱちの作戦だってよく分かってるよ。あいつらはインデックスの魔術を無効化するためだけに鼓膜を破る連中だ。結構ヤバいってことはわかるよ。それにお前ら天草式は50人。俺達を入れても55人かちょっとだろ。
 対してアニェーゼ達は250人だ。俺は中学生のお嬢様に勉強を教えてもらうくらいのバカだが、それくらい絶望的な状況だってのは分かる。あんなゾンビみてえな狂信者ばっかりなんだからな。いくらイノケンティウスで脅かしても何も戦況は変わらないかもしれねえ。
 むしろもっと多くの人が死んじまう結果になるかもしれねえ。あいつらは頭がおかしい奴らも多そうだし、オルソラに酷い事をしやがった。でもずっと悪い奴だとは限らねえ。アニェーゼにだって戦う理由の一つや二つくらいあるかもな。俺が今まで戦ってきた連中もそうだよ」

 上条は『記憶喪失』になってから今まで戦ってきた連中の事を思い出す。
 例えば錬金術師アウレオルス・イザードは地獄の三沢塾を犠牲にしてきたりやつあたりで姫神秋沙を殺そうとしてきた。
 だから上条とステイルは彼を廃人にまで追い詰めた。だがアウレオルスだって元が悪人だった訳ではないのだろう。

 元々アウレオルスが全てを投げ打って歪んでしまったのは、元々はインデックスを助けたかったからであるはずだ。
 もし上条がインデックスを記憶喪失の呪いから救えなかったらアウレオルスのようになってかもしれない。
 人間が壊れるのも簡単だ。

 アウレオルスだけではない。
 学園都市に潜り込むため、魔術を捨てて無能力者になった土御門元春だって、上条の父親を巡っての誤解から殴りあった事がある。
 何故、上条が土御門に殴られたのかは具体的な理由は上条も忘れた。
 だが土御門も「俺の妹がこんなに可愛いですたい!」という信念の元で戦うシスコンだったのである。

 海原光貴に変装したアステカの少年も、学園都市に潜入したシェリー・クロムウェルも、あの不器用な闇咲のオッサンも、魔術師というのは大抵「誰かを救いたい」という願いで戦ってる連中ばかりだった気がする。
 それはこの事件で知り合ったオルソラ・アクィナスも天草式も同じであった。

「だからアニェーゼがこんなふざけた真似をやってるのも何か理由があるのかもしんねえ。例えば法の書を発動させれば困る人だってたくさん居るんだろうしな」

 アニェーゼにも何かしら理由があるのかもしれない。
 少しの時間だったがキャンプ場での付き合いもあった。
 あそこで見せたアニェーゼの姿の全てが偽りであったとは上条も思わない。
 しかしそれでも上条はその拳を握りしめる。

「だがな。オルソラも法の書を潰す気でやってたんだ。オルソラだって法の書が不幸を招く魔道書だと思って頑張ってきたんだ!それは報われなかったけどな。でもだからってアニェーゼ達にリンチされなきゃいけねえ理屈なんざどこにもねえんだ!ローマ正教の暗部?そんなもん俺にとっちゃどうでもいい!」

 歯をむき出しにして己の意思を叫ぶ上条。そこには論理的な思考は一切ない。
 上条当麻という男はこういう男である。だからこそアニェーゼに騙されたりもする。

 しかし今一つだけ確かに分かることがある。

 それはアニェーゼ達がオルソラを理不尽な理由でリンチをしたという事。
 その行為に対して上条は怒るのだ。

「建宮が言ってたぜ。てめえらだって神裂に置いて行かれたのが辛くて強くなろうとしたんじゃねえかよ!だったらまだ始まっちゃいねえ!ここからがてめえら天草式十字凄教のスタートなんだよ!」

 上条は五和の名前もまだ知らない。
 しかし天草式がどういう組織なのかだいたいわかった。
 だからこそ激励したのである。

 この五和という少女はこう見えても臆病な所があったらしい。
 それは先ほどの反応から見ても分かるだろう。
 しかし上条の激励によって勇気を取り戻したようだ。

「か、上条さん……私もあきらめません!最後までやってみます!」

 このまま戦っていてはおそらく誰も生き残る事は出来ない。それだけ250人という戦力差は侮れない。
 冷静に考えればそういう事なのだ。信念を貫くのも賭けに出るしかない。

「それではルーンを張りましょう!」

「いや、とうまは幻想殺しのせいでルーンに触ると魔術的効果をぶち壊してしまうかもしれないんだよ」

 さっきから置いてけぼりだったインデックスは、ここぞとばかりに幻想殺しについて説明する。
 上条の右手は敵の攻撃を無効化するだけではなく、味方の異能も殺してしまう。
 幻想殺しもなかなか使い勝手の悪い能力だ。上条には出来ない事もたくさんある。

「だから俺は時間稼ぎの為にアニェーゼをぶっ飛ばす。あのガキにお仕置きしてやらなきゃいけねえからな」

 だから上条は上条にしか出来ない事をやる。
 それがこれまでの戦いで彼が得た答えなのかもしれない。

「だから天草式、お前に頼む。インデックスと佐天を守ってやってくれ」

「分かりました。任せてください!」

 五和の闘志が完全復活したようだ。しかし敵のシスター達は上条達の姿を見つけたのか大勢で襲いかかってきた。

「あー」

「ころせー」

「やっちまえー」

 耳からどろどろと血が流れてる所からみると玉砕覚悟で鼓膜を潰したシスター達のようだ。

「くそっ!」

 上条の幻想殺しはあくまでタイマンで発揮される能力だ。
 二人がかりで襲われれば分が悪いし、三人以上に襲われれば逃げるしかない。
 だがここにいるのは上条一人ではなかった。

「上条さんはやらせません!」

 五和は10名ほどで襲ってくる敵のシスター達を船上槍で吹き飛ばす!
 死んではいないだろうが、気絶させるくらいには手を抜いた。
 その様子を見て上条はふと笑みをこぼす。

「やりゃあ出来んじゃねえか、天草式」

 そして上条は佐天とインデックスを見やる。
 だがそこにあったのは場違いな光景だった。

「インちゃぁん。かわいいわインちゃぁん」

「離すんだよるいこ!そんな事をしてる暇じゃないんだよ!」

 上条は思わずずっこけた。

「おい、佐天さん? 今そんな事やってる場合ではないと上条さんは思うわけですが!というか帰れよ、お前!なんでここに居るんだよ!」

「インちゃんが可愛いからです(キリッ」

「答えになってねえ……やっぱお前、御坂や白井の友達だわ…間違いなく」


 〜〜〜〜〜


 第5話 とある無能力者と五和が交差する時、物語は始まる!



「チクショオオオオ!くらえアニェーゼ!新必殺そげぶ!」

「さあ来いイイ!私は実は三回殴られただけで泣くぞオオ!」

(そげぶ)

「グアアアア!こ このザ・釘宮と呼ばれるアニェーゼが…こんな変態男に…バ…バカなアアアア」

(ドドドドド)

「グアアアア」

「やった…ついにアニェーゼを倒したぞ…」

 上条の勇気がオルソラを救うと信じて…!ご愛読ありがとうございました!


 〜〜〜〜〜


 その後、五和はインデックスと彼女に抱きつく佐天をシスター達から守りながら戦って行った。
 イノケンティウスを発動させるためのルーンを仲間と連携して貼っていき、発動した。
 それは敵の戦意を殺ぐのには十分すぎる力であった。
 そして上条はアニェーゼを殴り倒し、この不条理なお話は終わりを迎えた。

 それから上条は救急車で運ばれていったのだった。
 いつもの事だから仕方ない。

 「法の書編」完!



〜〜〜〜〜 【佐インSS】 佐天さんを残骸編に関わらせてみた 嘘予告 〜〜〜〜〜


「やめてよ……佐天さんが私に適う訳ないじゃない!」

 倒れ伏す佐天を見つめて美琴は慟哭する。
 佐天の横には砂鉄で真っ二つになった金属バットが転がっている。
 佐天を傷つけたのは美琴の能力だ。
 手加減しているとは言え佐天は「あのバカ」のような天災ではない

「黒子がやられちゃうのよ!だからどいてよ佐天さん!」

 そう叫ぶ美琴は既に泣き出しそうだった。
 その顔は何を守ればいいか分からないような迷いが滲み出ていた。
 黒子や妹達を救うには佐天を倒さなければいけない。

 どうしてこうなっちゃったのか……。

 だが美琴の前に立ちはだかる佐天はゆっくりと立ち上がり呟く。

「いいですよ……御坂美琴さん……」

 その言葉は決して美琴の言う事を聞くような響きではなかった。
 『インちゃん』を独占するあの忌々しい男が呟く「いいぜ……」のような響き。
 どれだけ傷ついても止まらないという徹底交戦の宣言だ。

「あんたがこれ以上、ビリッと解決するのに一人でやろうとするってんなら……まずはそのふざけた短パンをずり降ろす!」


 話は上条当麻がアニェーゼ・サンクティスの顔面を打ち砕き、あの「法の書」を巡った不条理なお話が幕を閉じた直後の話である。
 佐天も上条・インデックスと共にまた学園都市へ帰ってきていた。

 学園都市にあるとある大通り公園。
 今も佐天はどこかれ問わずインデックスに抱きついていた。

「ああんインちゃーん」

「るいこ……ちょっと鬱陶しくなってきたかも……」

「はいインちゃん。エビよ」

「わーい」

 そんな二人の姿を見て頭がお花畑な風紀委員は一言

「面白いね佐天さん」

「そういや初春。白井さんはどうしたの?」

「大覇星祭の準備で忙しいみたいですよ〜。ていうか私が仕事押し付けましたけど」

 そこに現れる謎の影!

「あーらあらまあまあ。初春をとっ捕まえに来たら佐天さんが!『淑女』に目覚めるとは」

「この感情が『淑女』なんですね!」

「佐天さん!」

「白井さん!」

 そして白井と佐天は共に『淑女』としての友情の握手を結ぶ。
 そして初春は思う。

「わー変態淑女の白井さんと佐天さんきもーい」

 前倒しされる出会い。

 守護神(ゲートキーパー)と打ち止め(ラストオーダー)

「迷子ですかアホ毛ちゃん」

「あの人は今はまだ迷子じゃないかもってミサカはミサカは思ってみたり。それよりお姉様の方が迷子じゃねーかとミサカはミサカは思うのだけど」

 そして佐天に迫る謎の少女。

「あなた……最近、『外』へ出なかったかしら」

「あなた誰ですか?」

「申し遅れたわ。私は結標淡希。学園都市の生徒が能力者にならなくても済む世界を目指す者よ」

 複雑に絡み合う日常。変化していく関係。その中でも起こる事件。

「し、白井さん!そんなボロボロでどうしたんですか!」

「……佐天さんでしたか。お姉様や寮官でなくて良かったですの」

 淑女と淑女が交差する時、破壊された幻想の残骸を巡る物語は始まる

「初春……まさかお姉様が何をなさっているか知っていたのですの?」

「さあ?きっと上条さんと夜中まで何かやってたんじゃないんですか」


「本当はお姉様がもう戦う必要なんか無いってミサカはミサカは思ってみたり。でもお姉様は残骸が復活させられるとミサカ達がまたあの人に殺されるってミサカはミサカは疑問に思ってる」

「とうまに殴られて改心したのに短髪が怯えてるかも?」

「だいたいそんな感じってミサカはミサカは説明してみたり」


「結標のバックの組織は私ら警備員(アンチスキル)に任せるじゃん」

「ええ、分かりましたですの」

 携帯を切って黒子は鉄矢を補充する。

「白井さん分かりましたか?」

「ええ、これは淑女としての喧嘩ですの」

「御坂さんと結標をぶつける訳にはいかないって事ですね」

「お姉様では結標は倒せませんの」

 白井はよく分かっていた。
 美琴は「超能力者(レベル5)」という肩書きがあるから結標を精神的に圧倒出来るだけであり、テレポーターが本気で殺意をぶつければ美琴では手も足も出ない事を。

「だからわたくしがお姉様の露払いをするしかないですの」

「でも御坂さんは多分止まりませんよね」

「だったら……私が御坂さんを止めるよ」

「佐天さん!?」

「む、無謀ですの佐天さん!何をやろうとしてるのか分かってますの?」

「なあに、殺される事は無いでしょ……だって御坂さんだよ?」

「佐天さん……分かりましたの。お姉様を足止めして欲しいですの」

 佐天は金属バットを片手に携え、初春と白井に一言だけ言い残すのだった。

「じゃあちょっくら御坂さんに説教しに行ってくるわ」


 佐天さん×残骸編

「分かった。だったら最優先は白井でいいか?その残骸とやらが復活しても一方通行が御坂姉妹をまた殺すまで時間がかかるだろうし、もしかしたら殺さないかもしれねーしな」

「あんた……」

「お前達の気持ちも分かるけどさ。俺はその時悪い事したとしてもずっと悪くなきゃいけないなんて思えねえんだよ。それは多分、一方通行だってそうだ。あいつがずっと悪党でいなきゃいけない幻想なんて、きっと無いんだからな」


 近日公開!出来たらいいなぁ。

「ひっ! あ、あんたは……」

「中学生はなァ…ババァなンだよ」


 ※実際の作品とは違う可能性も有ります。



 第6話へ続く



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