<前編>
<らららら♪ らんらん らんらんらら ららららんらん〜 らららら
歌いながら雪かきをする霊夢さん。
何気に東方キャラはみんな歌が好きです。
ちなみに博麗神社に雪かき用の用具はあるようです。
参拝客が来ると思ってやってましたが、誰も来ません。
生活に困ってるわけではないそうですが、信仰は欲しいんでしょうね。
今日は晴れたから新しい神事を試そうとしてるそうですが……。
一方、そのころ。
<ねえねえ二人とも。昨日までの大雪が嘘みたいに晴れたわよー
だが昨日の大雪で枝の上の雪が落ちてきて、三匹の家は扉があかなかった。
ということでいちばん遅くまで寝ていて、唯一、窓が開く部屋のサニーが一人で雪かきさせられるハメに。
<別に日光が気持ち良いから良いけど
<……って、本当に開かないのかしら? みんな自分の部屋以外には入らないから、嘘ついていてもわからないわね。
二人の部屋は趣味が合わないし。
そしてヒュイヒュイと鳴く鳥の鳴き声。
一方、そのころ。
魔法の森にあるとある館。
<3日ぶりの晴天ね。このまま降り続けて家が潰れないかと心配だったわ
七色の人形遣い アリス・マーガトロイド
アリスはその二つ名の通り、さまざまな人形に囲まれて暮らしています。
<さあみんな。今日は炊事係を残してほかはみんな屋根雪おろしを行ってもらうよ
(ざわざわ)
↑人形たち(アリスが手動で動かしてる)
ざわっ……
<文句を言わないの。今日は晴れているけど、明日も晴れるという保証はないでしょ。
明日からまた大雪になったら家が潰れてしまうわ。もう扉も重くてギシギシいってるんだから……ほらほら
←雪かき準備中
<準備ができたら働く働く。ほら、あなたたちは炊事係よ。
アリス……あんた、自分で操ってる人形に話しかけて疑問は持たないのか……。
後で結局、面倒事を魔理沙に投げ出すからなぁ。妖怪なんだけど。
まあ、それがアリスクオリティ。可愛く見えても妖怪だし。
アリスも鳥の鳴き声に不愉快さを感じていた。
一方、そのころ。
<ご苦労さんでした
<生意気だよ、このヤロ
<いたた
サニーとルナはしょっちゅう殴りあってます。
ロケットで魔理沙さんが吸血鬼と殴りあった時のようです。
あれは吹いた。魔理沙つええ!
それはともかく今日も三匹が行く!
今回はサニーが見つけた不気味な屋敷へ向かいます。
怖いの好きなサニー。
そのホラーハウスで見つけたものとは?
<わっせわっせ
雪かき中の操り人形でした。
<怖く…はないね
<怖く…ないなぁ
<か、かわいい……
そして中のアリスが出てくる。
<誰?誰かいるの? ……妖怪? 妖精? 新聞勧誘?
<え、あ、えーと。(宝探しにきたなんて言えないし…)ゆ、雪が酷かったから道に迷いましてー
<……見た目妖精だけど、妖精も道に迷ったりするのかしら?
<えーと。私たち妖精に見えますけど実は妖怪です。光の三妖ーーー怪(嘘)
<そう、何でもいいわ。迷ったのなら体があたたまるまであがっていきなさい。
とりあえず誘ってくるアリスさん。
帰ろうとする三妖怪もとい三妖精だが、「この森には道に迷わすたちの悪い妖精がいる」「いつか懲らしめないといけないと思ってたんだけど……」と言われ、マジびびる。
それに変な鳥もいる。
<ほら、部屋の準備ができたわ。あがって。
<……
そして後編へ続く!
<後編>
とりあえずアリスの家に招かれた三妖精。
だが向こうはスターの嘘で妖怪として思われていた。
宝探しにきたとは言えないし、なんとなく妖精のことをよく思ってなさそうだった。
しかしアリスは、あたたかい紅茶をいれてくれた。
東方キャラの中では比較的いい人です。
<まあ、迷い歩いてすっかり体も冷えちゃったでしょうし、ゆっくり暖まっていくと良いわ
ゆっくりしていってね!
まあ、これが掲載された時には「ゆっくり」という単語が東方界隈に色んな意味で大きな影響を与えるなんて誰も思わなかったんですよね、うん。
<そう、光の妖怪なんていたのね。魔法の森の外にはあまり詳しくないから。
私はこの森に住む人形遣い。
人形遣いっていっても人に見せる芸人でもないし人形を売るわけでもないし自分で作ってるから買ってくる訳でもないわ。
めったにこの森から出ることはないの。
逆にいえばどっかで売ってるんでしょうかね。
<そ…そうですか。私たち普段は妖怪の山の裏辺りに棲んでいるんですよ。
最近、山の妖怪が我が物顔で私たちの家を荒らしていくようになってしまって……
これはちょいとイカンと思いまして、光を司る者として何とか修行したいと
そこでですね。魔法の森に七色に光り輝く素晴らしい……えーと
魔道書を持った魔法使いがいるって聞きましてー
まぁ、それでやってきたんですが昨日の大雪で道に迷ってしまって……。
<(よくもまぁスラスラと…)
<(嘘が出てくるもんだ……)
ですよねー
<魔道書? 魔法使い? …何処で聞いた話?
アリスは実際EXクラスの魔道書持ってますからね。
怪綺談EX的な意味で。
<えーと……(作り話だしなぁ…)光の三妖怪の四人目
ねーよ。
<……
<……あれ?
不穏な空気の中、神社では霊夢の新しい神事に魔理沙が付き合わされていた。
博麗神社は結界を守っているだけで、御利益らしい御利益もない。
イベントらしいイベントもないから誰も来ないのだと霊夢は思いつく。
<ははは、そんな判りきったことを。
ですよねー。
だから霊夢はいろんな神社の神事を真似することからはじめたのだ。
そして笛を吹く霊夢。
<これからはじめるのはウソが持つ罪を赦し、ウソを幸福に替える神事
ウソはウソを生み、ウソの連鎖はとまらない。
閻魔様の仕事を減らすためにも、ウソの連鎖を断ち切る必要がある。
さぁはじめましょう。鷽替神事(うそかえ しんじ)を。
そして鳥の「鷽」が大量発生するのだった。
一方、そのころアリス家では。
<三妖怪の四人目……?
<あ、いや……五人目…かな?
↑三妖精の頭脳サニーミルク
<……怪しい
ですよねー。
<…じゃあ、いろいろと聞くわよ。首尾良くその魔道書を持った魔法使いに会えたとしてあなたたちは何をする予定だったのかしら?
<それはもうサクッと
<サクッと?
<頂戴して帰ろうかと
本音が漏れてしまうアリスさん。
まあサニーが言ってる魔道書も嘘なんですけどね。
ですが、アリスはやばい魔道書を持ってたのでした。
<……ぷっ、ふふっ。あはははははっ
笑い出すアリス。
そして……
<………まあ、あなたたちが本当に妖怪でも何でもいいわ。あなたたちが探している魔道書は私が持っている。探している魔法使いってのは私のことよ。あなたたいが妖怪であろうと、何であろうと……
<あなたたちは、私の敵よ!
<ひええ〜
一方、神社では魔理沙が鷽につつかれ、霊夢が蘊蓄を垂れていた。
<その鳥は鷽。ヒュィーという鳴き声が口笛みたいでしょ?だから口笛を吹くことを嘯くっていうのよ
しかも、今集まってきた鷽はただの鷽ではなくて天神様の使いの鷽
<いててて。鷽って鳥はこんなに凶暴なのか?
<この鷽は今までに吐いた嘘を啄み、それを幸福に替えてくれるのよ。嘘を吐いている人の所に集まるの
<何だよ、私はそんなに嘘を吐いていないぜ…っていて!
<天神様の使いにそんな嘘は通じないわよ。さあ大人しく嘘を持っていってもらいなさい!
<なんで私が、っていたっ
まあ魔理沙はしょっちゅう嘘ついてますからね。逆に霊夢は何ともないのがなんとも。
一方、そのころ。
<さあ、覚悟はいい?
三妖精はマジびびっていた。
大量の人形を操るような妖怪に万にひとつも勝ち目はない。
三人だけでは分が悪い。
だが、そこに現れる鷽の大群!
<鳥!? くっ…攻撃…!? いったい何の…
<いたたたた! 何なのこれ! 何なの!? 人形だけじゃなくて、鳥も操るっていうのー?
鷽につつかれまくって狼狽する三匹。
それを見たアリスは気づく。
<そんな鳥ごときに怯むなんて、あなたたち本当は妖精でしょ?
<そっ…そうです! だからゆるしてー いたた、ごめんなさい。ごめんなさーい!
<やれやれだわ…
そしてアリスは三匹が「森で道に迷わせるたちの悪い妖精」だと気づく。
<怒ってもいないし戦うつもりもない。あなたたち妖精風情が魔道書を持っていっても使い道はないし、私にとっては森で迷うことなんてないからね。
ああ精々、道に迷った人間を泊めてやることくらい……。
ちなみにあのタイミングで鳥が襲ってこなかったら、アリスさんは二度と立ち上がれないくらい叩き潰してたそうです。
でもつつかれまくる三匹。
<いたたた、なぜこの鳥は妖精の私たちを狙うのかなぁ
<嘘ばっかり吐いてるからじゃないの? ま、森に住む者同士、外の人間に一泡吹かせるべくこれからも仲良くしていきましょう。
ふふっ、ほらおいしい?
ということで一件落着。
そして魔理沙もつつかれまくっていた。
<うーん、どうやら鷽替神事には本物の鷽を使わないみたいね。本当は鷽の作り物を作って交換するんだって
古い本を見て調べる霊夢。
<だったらうちで新しい神事として行えば良いだけじゃない。本物の鷽を使った鷽替えだって。
山にはたくさん住んでる鷽だった。
天神様の使いだって言ってたのにいい加減な霊夢でしたとさ。
<雑感>
今見て思ったけど、サニーがいう「魔道書」はデタラメなわけで、そもそも人形ハウスとか妖怪が住んでるとかも知らなかったんですよね。
アリスが過剰反応してたのは、やっぱ怪綺談のアレでしょうか。グリモワールオブアリス。
最近は人形ばっか遣ってる人形少女だからなぁ。でも旧作設定が完全に死んでる訳ではないはず。
こういうところから妄想を広げるのも面白いです。
しかし霊夢の行動が三匹に影響を与えるなど、いろいろと構成も良くなってきてますね。
この辺からが三月精の真髄ですよ。のんき。