まずは朝食にするサニー。

<…っ!? 苦っ!!

 しょっぱなから苦いサニー。
 苦手な「ふうきみそ」だった。

<春の皿には苦みを盛れってね

 料理を用意したのはルナだった。
 冬眠から目覚めた熊が一番最初に食べるのが蕗の薹(ふきのとう)。
 体に溜まった油分を流して目を覚ましてくれるのだ。
 それにサニーは苦手でも、ルナはふうきみそ大好きだった。

 ルナチャイルドのさっと一品が始まるが、単行本を確かめましょう。美味……。

 世の中には春を告げるだけの妖精……春告精・リリーホワイトも居る。
 サニーはリリーの事を知っているらしい。

<知ってるも何も……あんなことがあればね……


 攻撃でも受けたか? 妖々夢4面や花映塚のリリーは結構厄介。

 一方、その頃。

<らんらん♪ ららん♪ ららら♪ ららら♪

 霊夢はてんぷらを揚げていた。
 どうやら霊夢と魔理沙はああ見えて自炊してるらしいです。
 三月精は割と霊夢が料理するシーンも印象深いです。

 霊夢が揚げていたのはタラの芽のテンプラだった。まだ桜も咲いていない。
 遊びに来た魔理沙がどこで手に入れたかを問う。
 すると霊夢は、紫が持って来たと答える。

<なんだ? いつから妖怪の賄賂を受け取るようになったんだよ。妖怪退治に手心を加えてやってくれ、とか?

<ま、いろいろあってね

 永夜抄では半ば賄賂があったとかなかったとか(リグル戦前に報酬の話が出てくる)。
 それはさておき塩と醤油、そして日本酒と一緒にタラの芽の天ぷらを食べます。

 やっぱり霊夢と魔理沙って20歳超えてるんじゃないのか?
 幻想郷に20歳以下は飲酒禁止という法律は無さそうだけど。
 でも、ルナのさっと一品では「お酒は20歳を過ぎてから」とか注意書きされてるんだよなぁ。

 年齢はともかく、タラの芽です。

<うーん。流石に山菜の王様と呼ばれるだけのことはあるな

 美味そうに見えるから困る。
 だが魔理沙は、紫が季節はずれのタラの芽を持ってきた事を疑問に思う。

<それも変な話なんだけど……暖冬の影響らしいわよ?

<ダントウ? それは過激だな…

 魔理沙は香霖堂に流れ着いてきた本から見た「弾頭」でも考えてるのでしょうか。
 でも、某河童も「弾頭」でしたね。


<『幻想郷は大雪で四磐根。外の世界は殆どの雪が人工物になってしまったわ』

<なんて言うから、「外の世界って言っても壁一枚挟んですぐ隣じゃないの。雪の量がそんなに違うわけがないじゃない、って言ったのよ」

 そしたら紫は嬉しそうに

<『これを食べて自分なりに考えなさい』

 って言ったそうな。


<流石に美味しいわね。これだけ美味しいと暖冬も満更ではないわね

<そうだな、幻想郷もダントウであるべきだな。

 いいのかそれは。

 それはさておき魔理沙は里で春告精・リリーホワイトを見たらしい。
 あんまり親父さんに会いたくないらしいから里へは顔を出さないらしいけど、でも求聞史紀の読みきりでは行ってたなぁ。
 魔理沙も謎が多いんだかそうじゃないのか。

 一方、紅魔館では

<庭が春を感じられるようになったので、お茶にも趣向を凝らしてみました

<…どんな?

<庭で採れた福寿草を煎じて混ぜてみましたの。

<いつものことだけど滅多な物を混ぜるのね

<福寿草は人間の心臓に刺激を与える薬草。少しは人間の血液に近いかなと……いかがでした?

<ああ、血らしさは皆無だわ。春らしさも感じない。苦いだけよ。私に試す前に自分で飲んでみたらいかが?

<私は心臓には自信がありますので……

 という事で砂糖をこんもり入れて混ぜるお嬢様。
 そういや咲夜は花映塚あたりから毒を混ぜるようになったんだよなぁ。
 案外、妖怪からの人間提供を断って代用してるのかもしんない。
 冗談めかして毒殺しようとしてるのかもしれないけど。

 こっちでもリリーの話へ。
 咲夜曰く、「里では見つけた人間もいると言う話も聞きました」とのこと。
 紅魔郷では人里に近寄らなかったのが、最近は丸くなったのか求聞史紀では人里で買い物してるとか結構やってるらしいね。

 そしてお嬢様は咲夜に命じる。

<さあ、春を告げる妖精を探して捕まえてくるのよ。今年の春は−−紅魔館の物

 また悪巧みです。
 でも妖怪はこれくらいがちょうど良いのかもしれません。
 紫も「若いって行動的で良いわねぇ」とか評価しちゃうわけです。

 という事で前編終了。次は後編へ。

 <後編>

<咲夜さん、どうしました? 今日はふうきみそでも作るのですか?
 華人小娘 紅美鈴

<それはお嬢様があまりお好きではないのよ

 何気に公式媒体で咲夜さん付けした初めての門番。
 まあ作者にとっては良くも悪くも好きにして良い部分なんだろうけど。

<ねえ美鈴(メイリン)。庭で妖精を見つけたら捕まえて教えて

<妖精……ですか? 妖精でしたら家の中にもいくらでもいるじゃないですか。妖精メイドたち。

<馬鹿ね、ただの妖精を捕まえても邪魔なだけでしょ? 春を告げる妖精を探すのよ

 美鈴に見張りを忘れないように命じた上で庭を探させ、自分は外へ向かう咲夜。
 裏でシエスタ門番にされてたのはいい思い出。

 一方、サニーはリリーの実態について語る。

<あの妖精の実態を知らないからそんなこといえるのよ。
    いい?春を告げる妖精を見つけても絶対に手を出しちゃ駄目だからね! 痛い目に逢うよ。
    春じゃあの妖精の力には絶対に敵わないんだから

 春のリリーは普通の妖精である三匹では太刀打ちできないらしいです。
 妖々夢4面や花映塚では結構強いですが、それは例外的なんでしょうね。

 一方その頃。

<くしゅん

 ウホッ、いい魔理沙。
 それはともかく突如現れるメイド。

<やっぱり春に関しては、春っぽい神社にかぎるわね

 そして咲夜は自分の目的を語る。

<瓶詰めにしていち早く紅魔館を春にするのよ

 天然メイドにずっこける霊夢と魔理沙。
 まあいつものノリです。

<相変わらずだな、いつものノリというか……前もそんなことがあった気がするが……
    いいか?春は誰かの所有物じゃない。
    春は……

 ウホッ、いい主人公。

<春は−−私の物だ!

 ねーよw

 主人公らしくない魔法使い。
 でも、これが東方の主人公その2なのよね。作者からは脇役呼ばわりされた事もあるけど。

<それはともかく春の妖精を捕まえたって春が来るわけじゃないと思うけど……

<そんなことわかってるわよ。お嬢様の暇潰しに付き合ってるだけ。

<聞けよ!

 スルーされたー。
 しかし改めて思うが咲夜はお嬢様の扱いに手慣れてるなぁ。

<ちょっと前に春をみんな持っていかれたのがそんなに悔しかったのかねぇ。

 妖々夢ですかね。

<まあでも春は私の物よ

 お前もか!
 そんな主人公どもにこの言葉を贈りたい。
 「悪い方は必ず負けるのよ」

 更に三妖精もこっそり話を聞いていた。
 そこでスターのレーダーに反応が。

<何かが近づいてくるよ

<空よ空!


  
ぱああああっ

 リリーが通り過ぎた後、一瞬で春になる神社付近。
 それを見つめる霊夢、魔理沙、咲夜、そして三匹。

<行っちゃった……

 それから、お嬢様は神社までやって来て咲夜の日傘で紅茶してた。

<で−−結局、春一番乗りは神社に持って行かれちゃったのね。咲夜が無能だから。

<あら、これでも頑張ったほうですわ。だから、このお花見は私たちが幻想郷一番乗りですよ。

<私もだ

<私も

 お嬢様の皮肉を瀟洒に返す咲夜。
 まさに瀟洒だぜ。

<でも、私は知りませんでしたわ。春告精が通った後は瞬間で春になるなんて……

<私もだ

<私も

 魔理沙と霊夢がいい味出してて吹く。

<ふふ、そんなの常識じゃないの。だから捕まえてきてって言ったのよ。

 うほっ、運命を操る程度の能力(多分嘘)

 霊夢は「自然が本来持っている力にきっかけを与えるだけ」と語る。
 一言に妖精って言っても色んなのが居ます。紅魔館の妖精メイドは役に立たないそうですし。

<そこに隠れている妖精たちも出てきて一緒にお花見でもしませんか?……

 咲夜に見つかって即座に逃げ出す三妖精。
 もう後姿が板に付いてますね。
 ちなみに霊夢や魔理沙は気付いてなかった様子。
 咲夜さん、あんた本当に何者ですか。

 <オチ>

<………ここにもいない…一体何時まで探していればいいんですかー咲夜さーん!! わーん

 アッー!

 <雑感>

 という事でリリー編。
 「妖精」がテーマだけに取りこぼしもありません。
 第六回人気投票ではあんなでしたが、それは……置いておきますか。
 でも「春告精」という単語は、それなりに普及してるみたいですね。
 求聞史紀の影響もあるんでしょうが、中々侮れない所。

 しかし紅魔館はなんだかんだでいい連中ですね。
 お嬢様はあんなだからこそお嬢様です。


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