<第1号>

 【悪戯好きな妖精、東の国に現る】

 元来、妖精とは悪戯好きな物である。
 それは妖精が最も自然に近い存在であり、自然を縛る物はこの世に何一つ無いからである。
 サニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイアの三妖精も例外ではなかった。
 三人はリーダー格のサニー率いる悪戯集団である。

 それぞれ担当部門が異なるが、連携が取れていない。自分勝手な妖精だから仕方がないのである。
 サニーミルクは日の光の妖精、光の屈折を操る程度の能力を持ち、人間に虚像を見せ、道に迷わせる。
 何時から幻想郷に居たのかは判らない。三人の中では最も頭が切れ、表情豊かで明るく、元気もある。でも実は一番失敗が多い。
 日の光を浴びることで怪我を治療する事ができ、雨には弱い。
 ちなみにルナは月の光で快復できるが、スターは天候には影響を受けず、常にゆっくり快復する。

 【天声神語】

 上のサニーの説明を読んであれ? と思う事がある。
 サニーがリーダーであるって言っているのに、一話目にしてスターに言われるがままという所だ。あれ? まあいいや。
 初めまして、ZUNです。普段は雑魚以下の妖精ですが、それを主役に持ってきてしまう自分の無謀さに呆れます。
 東方三月精は、ゲームの漫画化ではなく、出所がはっきりとしない漫画にしたかった為、主人公も正体不明な妖精に。
 ゲームにしても漫画にしても小説にしても音楽にしても、オリジナルが何処にあるのか判らない作品を創る事で東方世界が浮き彫りになる。
 それで全ての作品が相対的に魅力が増し、より作品性が高くなると信じています。
 時代は自然愛の時代、利便性を追求した使い捨て時代はもう終わりました。
 人間は、使い捨ては儲かるし便利だけど、進化の可能性と愛を失ってしまう事に気が付いたのです。
 愛ですよ愛。我が国の未来はそこにある。
 上海アリス幻樂団 ZUN

 博麗神主


 <第2号>

 【魔法の森に潜む妖精の不思議な住処】


 妖精は、何処に棲み、どういう生活を送っているのか殆ど知られていない。
 何故なら妖精は、神出鬼没な上に妖精の生活に興味ある人間も居ないからである。
 妖精は大木や草むら、土の下、水の中、岩の中、雲の中、風の中、闇の中、音の中、と言ったところに棲み着いている。

 サニーミルクとルナチャイルドとスターサファイアも例外ではなく、三妖精は魔法の森にある「果てしなく前から立っている大木」に棲み着いていた。
 人間にも妖怪にも、立ち入るどころか見つけることすら出来ない小さな住処は、何でもかんでも詰め込んだような部屋が多く、三妖精の性格をよく表していた。
 大木の中止には小さな居間が在り、その壁には樹を刳(く)りぬいて作られた棚や窓が存在する。
 その棚と同じように少し大きめに刳り抜かれた場所が三つあり、それが三妖精それぞれの部屋である。
 一つ一つの部屋は、広さ一畳高さ一メートル程度の広さであり、とても大人の人間が入れる広さではない。

 その中でも一際特徴があるのがルナチャイルドの部屋である。
 壁から床から白と黒を基調にしたレース等の布で覆われていて、そこかしこにリボンが付けられている。
 他にも拾い物のぬいぐるみや人形が所狭しと置かれていて、樹の中だと言うことを感じさせない。
 自然の象徴である妖精にしてみれば、それは不自然である。

 そんなルナチャイルドは月の光の妖精であり、周りの音を消す程度の能力を持つ。
 悪戯に最適な能力が故に、三妖精の中では実行部隊になることが多い。また、悪戯がバレてしまって逃げる時にも重宝される。
 悪戯で貧乏くじを引きやすいのはトロいから、ではなく、その能力故にしんがりをつとめる事が多いからである。

 ただ、性格は理屈っぽく何に付けても文句を言うことが多い。
 その上、三妖精の中では一番残酷である。
 それは部屋が『不自然』な事も、その残酷な性格故である
 何処か不自然な物、例えば人間などに憧れているのかも知れない。

 【天声神語】

 どうも、お久しぶりです。ZUNです。
 季刊と言っても、間に色々と別のイベントがあるので、長いようでそうでもないものです。
 漫画の方は、キャラや世界の紹介っぽい物は今回でおしまい、って殆ど紹介していませんが。
 まぁ、今後はいつものように緩くて、ちょっと不思議な話に落ち着いていくと思います。
 次回からちょっと一話が短くなるかも知れませんが、代わりに感覚が挟まる事になりそうです。大変だ。
 一話完結にしなければ良かった(嘘)。
 この先も、アクションシーンやラブラブなシーン、シリアスなシーンも無い漫画が続くと思います。
 その代わり。小粒ながらも、ちょっと不思議な感覚が味わえる漫画になることを願っています。いや私が願っても。
 そうそう、今のところ一番不憫なルナですが、月見草ですからね。そんな物と言えばそんな物です。そりゃイジイジもします。
 ちなみに、サニーが一番頭が良いのですが、頭が良くても元気だとそうでもないように見えるのは、何かの刷り込みでしょうか?
 上海アリス幻樂団 ZUN

 博麗神主


 <第3号>

 【不思議の地に降り注ぐは、多様な星の光】


 明るく大きく輝く星、暗くて奥ゆかしい星、境界が曖昧な星、歪な星、星と称される現象には様々な物がある。
 それだけ様々な光が有るにもかかわらず、何故全てを纏めて星と呼ぶことが出来るかというと、それには理由がある。
 星は日の前では完全に力を失い、月の周りでも色あせる。日の光は生物を成長させ、月の光は妖怪の住みやすい地を育む。
 星はそれほどの力を持たない。星の光は闇を取り払うこともなく、生物に与える影響も殆どない。

 ただ自分だけが光るだけだから、星と呼んだのだ。
 星とは火(ほ)し、つまり遠くの住居の灯りを意味している。
 他に特別な意味はない。
 スターサファイアは星の光の妖精である。彼女は生き物の動きを捕捉するだけの能力を持つ。
 性格は星と同じで捕らえ所が無く、誰の影響を受けることもないが、誰にも影響を与えることもない。
 能力は三妖精の中でレーダー的な役割を持ち間接的ながら重要だが、その捕らえ所のない性格が三妖精の悪戯を失敗に導く事が多い。

 彼女は時に恒星のように閃き、流星のように決断する。
 それと同時に姿を眩まし、天狗のように我が道を行き、迷惑をかけることもある。
 彼女の今の姿は動きが安定しない惑星なのだ。惑星は人一倍強く輝きながらも、予想できない動きをする星である。
 何故惑星が不規則な動きをするのかというと、それは日や月と同じ位の力を持とうと彷徨っているからに他ならない。
 星のような弱い火が強い力を持つためには、まずは安定が必要である。
 安定は個を強調し、光は弱いものの日や月に匹敵する力を持つことが出来る。
 そう、惑星が目指す星はこの星、つまり北極星なのだ。
 北極星になることで、最も強い力を持つことが出来ると信じられている。
 スターは動かない星を求め、動き続けているのである。

 【天声神語】

 どうも、お久しぶりです。ZUNです。
 非常にゆったりとした時間が流れている三月精ですが、こののんびり感がたまりません。
 本当に話が展開していくのでしょうか? と疑問に思うまでもなく、既にいつも通りの奇妙な幻想話に落ち着いてしまいました。
 まあそんなもんですよね。
 東方の世界のお話は全て、現実に密着しつつもちょっとだけ位相のずれた所にある幻想のお話です。
 世界は月に旗が立っていることなんて既に忘れたかのように廻っていますが、それは現実だった物も幻想になっていくという良い証でしょう。
 幻想になる物は何も想像上の物だけである必要はないのです。
 むしろ、想像上の物が一般化すればそれは幻想とは呼びにくい。
 幻想は現実感が薄い現実に存在します。
 架空でありながら現実に影響を及ぼし、そして現実に操作しながらも架空だと思う。
 それを味わうにはゲームが最適です。
 さあ今こそゲームをやりましょう。

 博麗神主


 <第4号(誤植)第4号)>

 【三妖精、四つの季節を一巡りして】

 どうもお久しぶりです。ZUNです。
 今回の上海アリス通信は、天声神語拡張版でお送りします。
 いやネタが無い訳ではなく、一周年記念だからです。いやほんと。
 まだ殆ど漫画らしい漫画が始まっていない気がしますが、もう一年になるんですよね。
 何だかキャラを紹介しているだけで一巡りしてしまったような……。
 上海アリス通信で連載していた第0話の桜の距離ですが、桜から桜まで繋ぐ予定でしたので、今回で終わりとなります。
 この桜の距離ですが、実は掲載一回目の原作はもっと長く、そこで既存のキャラや三妖精の紹介も軽くやっていたのですが、諸々の事情により掲載できず、今の形になりました。
 三妖精の紹介も一話以降になりました。
 逆にそのお陰で四コマ版0話も見られたし、話も私ものんびり出来たので良かったです。
 でも、いつか元の話も見てみたかったり……。

 で、漸く三妖精の紹介が終わったところでどうなるのかというと、これがまたどうにもならないんですよね。
 妖精にありがちな無鉄砲さで、死を意識しない危うい行動を取って行くことでしょう。
 落雷を受けたり大蝦蟇(おおがま)に喰われる位、日常茶飯事です。しかし、今の漫画のペースでそれが出来るかどうか……。
 でも、三月精は『東方』なのです。東方の最大の魅力は、ジャンルの可搬性にあります。
 三妖精は今のところ漫画でしか出てきていませんが、ゲームだろうが音楽だろうが小説だろうが自由に顔を出し、そして違和感なく話が進んでいくでしょう。
 ここが東方特有の最も面白いところ。
 何故なら、東方はストーリーを軸に構成されているのではなく、ただそこにある世界で構成されているからです。
 その上にキャラやストーリーや音楽が乗っているのが東方です。
 早く、三妖精達が他の作品の歯車の一つになるのを楽しみにしています(何故私が)。

 そうそう、三月精。何で三月精ってタイトルなのか、そろそろ気付いているかと思いますが、それは言うまでもなく日、月、星から来ています。
 日を英語にしてサン(三)……。後は言わずもがなです。
 また、古くから日月星の三つの天体を指して『三精』と言い、それにも掛けています。
 決して、三月連載開始の妖精漫画だったから、じゃ無いですよ? 確かにそうですが。

 あ、しまった今回の漫画の話のフォローを入れていなかった。
 まぁ、いつもより大分コミカルな話となっています。
 天狗様は、最近は誰かの所為でただのカメラ小僧扱いされていますが、幻想郷では山の神様として畏れられています。
 だから妖怪なんかでは太刀打ちできません。
 でも、結局何の卵だったかというと……それはまた後日。


 <第5号(第二部1話)>

 【より不思議な世界に、より輝かしい光に。】

 どうもお久しぶりです。ZUNです。
 今回の上海アリス通信は、いつもより大きめなニュースから入ります。
 もう漫画を読んだ方は判ると思いますが、今回から漫画家の方が変更になり、ついでに三月精も新章に入りました。
 まず、ひっそりと漫画のタイトルが変更になっています。
 今までのサブタイトルから、さらに、より内容に沿ったものになってるかと思います。
 作家の方ですが、今まで担当していた松倉さんから、上海アリス通信内で四コマを描いて頂いていた比良坂さんにバトンタッチいたしました。
 連載開始して丁度一年、登場人物の紹介もようやく終わって、東方のいつもの世界でのんびりさせていこうかなという段階です。
 今回から新章に入るにあたり、三妖精がさらに暢気に、やる気満々で幻想郷の各地のひょっこり現われる話になると思います。
 さて、今回の三妖精。この後どうなったかはご想像にお任せします。
 まったりエンドと大変なエンドの二種類想像出来ると思いますが、どちらを想像するかによって貴方の幻想郷観が見えてくるでしょう。

 そういえば紅魔館という洋館が初めて出て来ています。三月精内では一切説明してないので、ここで軽く説明します。
 紅魔館は、通称「悪魔の棲む家」と呼ばれています。西洋の妖怪が棲むのんびりとした洋館です。
 赤い絨毯に赤い天鵞絨(ビロード)、時計台に花壇と、幻想郷の中(東方の世界の中)では、極端に西洋寄りな洋館ですが、年に四回も節分の豆まきを行ったり、今回みたいに蛍狩りを行ったりと、徐々に東洋に染まっている様です。
 運命を操るレミリア・スカーレット(吸血鬼)がこの館の主人で、幼く見えて五百年以上生きています。
 それと、紅魔館に住む唯一の人間で時を操る十六夜咲夜(いざよいさくや)。
 あらゆる物を破壊するフランドール・スカーレット(吸血鬼)。
 紅魔館の頭脳で魔法のエキスパート、パチュリー・ノーレッジ。
 体術が得意で門番をさせられている紅美鈴(ホンメイリン)。
 という実に豪華なメンバーで構成されています。

 紅魔館は、東方の話の中に必ず出てくるほど、個性的で勝手に動く者が多いので、これから先もちょくちょく出てくるかと思います。
 特に霊夢と魔理沙との掛け合いは、東方の日常では欠かせません。
 いやほんと。

 博麗神主


 短い間でしたが
 お世話になりました
 いろいろ勉強したこと
 次に生かせたら・・・と思います。
 まつくら ねむ(妖夢のイラスト)

 一生懸命頑張ります!
 比良坂真琴(紫のイラスト)



 第6号<第二部2話>

 【幽霊で涼む幻想郷の夏】

 今の幻想郷にとって、1匹では力はなくとも数が多く我が物顔にふるまっているのが、妖精と幽霊である。
 妖精は自然の何処にでも存在し、非常に悪戯好きで人間に迷惑をかける上に、完全に滅ぼされることは無い。
 一方、幽霊もあらゆる場所に出没する。さらにあらゆる物体をすりぬけるという厄介な生き物(?)である。
 ただ、ほとんどの幽霊は口を利くことができないし、はっきりとした姿形を持つこともできないし、悪戯することも無い。
 強いていえば鬱陶しいだけの存在である。

 今回の話でも出てきているが、幽霊は温度が低い。
 何か幽霊が出そうな時にゾクっとしたりするのも、幽霊の温度が低いからである。
 この幽霊の特性を有効活用したのが、肝試しである。
 暑い夏に肝試しをして涼んだりするのは、昔の人の叡智なのだ。

 幻想郷も昔から幽霊が多かったわけではない。
 幽霊が何処でも見られるようになったのは、つい最近のことである。
 というのも、冥界と顕界の境界が、境界の妖怪の力によって曖昧になっているからだ。
 今では当たり前のように幽霊が幻想郷に押し寄せてきたり、生きたまま冥界に行ったりするようになっている。
 冥界には、見渡す限り桜が咲く庭、枯山水の中庭を持つ美しい日本屋敷、その屋敷に住み、冥界の管理者である亡霊など、興味深い世界であるが、そこの話はまた別の機会に。

 今回初登場の魂魄妖夢(こんぱくようむ)は、普段は冥界に住んでいる、人間と幽霊のハーフである。
 亡霊の西行寺幽々子(さいぎょうじゆゆこ)に仕える小間使である。
 妖夢は、幻想郷で幽霊が乱獲されていると聞き、幽霊を捕まえてどうするんだろう、と半信半疑のまま幻想郷に向かったが……というお話。
 彼女は真面目過ぎてからかわれ易く、何処に行っても任務が遂行できないでいる。
 しかし、実力が無いわけではなく、二刀流の使い手で、瞬発力と集中力では彼女の右に出る者は居ないといわれる位である。
 三妖精も後で彼女に見つかって、きっと痛い目に遭っていることだろう。

 【天声神語】

 ご無沙汰しております。ZUNです。
 この雑誌が出るころには梅雨は明けてるだろうなあと思いつつ、今はジメジメとした日本を楽しんでいます。
 梅雨が明けたら、今年こそはビアガーデン巡りをするぞ、と大きな野望も忘れずに。
 さて、今回の話は幽霊話ですが、東方の幽霊は全く怖くないんですよね。
 何故なら、幽霊ってのは、生命力の発現みたいなもんで、別に人間に危害を与えるとは限らないからです。
 そもそも、なぜ人間は幽霊を恐れるのでしょうか?幽霊は人間に危害を与えるのでしょうか?
 恐らく、人間にとって幽霊の象徴は死者の魂でアリ、出てくる筈の無い存在だから、常識が壊れるのを恐れているのでしょう。
 幽霊は、幽霊が居るのが当たり前の世界なら恐れる必要の無い存在です。
 せいぜい、悪い人間の霊なら悪い人間と同程度気をつければ十分です。
 暑い夏、うちにも幽霊でないかねぇ……って私は意外と幽霊を見るたちなんですよ。
 いやほんと。見るだけで捕まえられませんが。実際、見ると逃げ出しますが。

 博麗神主

 (4コマ)第1話 五月雨の五月晴

 サニー「結局紅魔館も追い出されたし…」
 ルナ「あら居てもいいって言ってたじゃない」
 サニー「そうは言ってもあれじゃあ…」
 咲夜『働かざるもの住むべからずよ(擬音:ゴゴゴゴゴゴ)』
 ルナ「まあね」
 サニー「あーもー梅雨なんて…」
 スター「……」
 サニー「梅雨なんて嫌いだ―っ!」
 ルナ「あらまた虚勢?」
 スター「また奇声ね」


 第7号<第二部3話>

 【迷いの竹林と幸運の兎】

 幻想郷には迷いの竹林と呼ばれる、広くて竹の密度の高い場所がある。
 迷いの竹林は、目印となる物が殆ど無く、さらに霧の立ちこめやすく見通しも悪い。
 その名の通り、慣れた人間でも道に迷いやすい場所である。
 この竹林の何処かに、永遠亭と呼ばれる落ち着いた感じの屋敷が建っているという。
 永遠亭には不思議な人間と不思議な妖怪が住んでいて、時には迷い込んだ人間の案内をしたり、時には人間の里まで来て自作の薬を配ったりしている。
 一見親切そうに見えるが、目的に判らない親切さ程、不気味な物は無い。
 さらに不気味さを助長させるのは、同様の行為を人間だけでなく、妖怪にも行っているという事だ。

 そんな永遠亭に住む正体不明の人間と妖怪は、人間や妖怪に配る薬を作り、医学の心得も持ち合わせた人間、八意永琳(やごころえいりん)と、
 その弟子である妖怪兎の鈴仙・優曇華院・イナバ(れいせん・うどんげいん・いなば)、
 さらに竹林の兎のリーダーである同じく妖怪兎の因幡てゐ(いなばてゐ)、
 最後に人前に出てくる事の少なく謎に包まれた人間、蓬莱山輝夜(ほうらいさんかぐや)である。

 今回初登場の鈴仙は、狂気を操る程度の能力を持つ。
 漫画ではサニーと同じ様な能力と言う事になっているが、錯覚を見せるのは能力のほんの一部でしか無く、実際にはサニーは鈴仙の能力の足元にも及ばない。
 サニーは光の進行方向を変える程度だが、鈴仙の能力は光のみならず、物体が持つ波動、精神が持つ波動、電磁波、全てを操る。
 さらには方向だけではなく、波長、位相、振幅を操る事が出来、彼女の赤い眼を見ると人間妖怪問わず全てがその能力の影響を受けてしまう。

 漫画では殆ど出て来てないが、もうひとりの妖怪兎が因幡てゐである。
 彼女の能力は幸運を与える事であり、人間の間では密かに人気が高い。
 さらに彼女は、迷いの竹林の兎を統べるリーダーであり、彼女の一声で全ての兎が動くと言われている。
 だが性格は狡猾かつ、人を騙す事に抵抗を感じていない。
 ある程度距離を持っている時は人気が高く、親密になればなる程、嫌いになるタイプである。
 なお、永遠亭の残りの2人は、滅多に永遠亭から出る事はなく、謎に包まれている。不老不死の人間であるとも言われているが……。

 【天声神語】

 割とお久しぶりです。ZUNです。
 リニューアルしてから三話目ですので、もう気付いている方もいるかと思いますが、三話は順番に紅魔郷、妖々夢、永夜抄のキャラ紹介になっています。
 と言うのも、登場キャラを増やさないと三妖精だけでは話が作りにくい事に気付いたから……ではなくその方が話が作りやすいからです(同じ事)。
 となると、次回はあの辺の話になりそうですが……。
 それはさておき、永夜抄のキャラは重すぎて他の作品と絡ませ難いです。
 どうしても、妖怪兎の2人が中心の話になってしまいます。
 月の兎である鈴仙と、地上の兎のてゐの二人は、余り上手く行っているとは言えないようです。
 てゐを使い、竹林の兎を有効に使いたい鈴仙と、兎を統べる力を持っているが、その力を使おうとしないてゐ。
 月は高い所に在るからか、月に住む者は地上に住む者を見下す傾向が有ります。
 てゐはそれを感じ取って、素直になれないのかもしれません。
 ただ、永遠亭に住む者も、永夜異変をきっかけに変わりつつあります。
 人間と上手くやっていける様になるのも、そう遠くないでしょう。

 博麗神主


 号外<旧三月精単行本化記念、原作者インタビュー>

 【慶事に臨み神主からの祝詞】

 三月精初お目見えとなった旧シリーズの単行本化に臨み、一夜限りの号外ながら、久方ぶりの復活を遂げた本ページ。
 今夜は趣を変え、原作者のZUNに一問一答形式でおことばをいただいた。

 −−あらためて、なぜ「東方」なのですか?
 自分がつくるのなら、世界観だけでなくゲーム内容も含めてアジア的な物がいいと思ったからです。
 あとは、単純に口に出した時の語呂が良かったからですね。
 最初は、今ほどさまざまな形態の「東方」ができ上がることなんて考えていなかったのですが、結果として全体の統一感が出てよかったと思います。
 あと、和風と違って日本に絞ってないのも結果としてよかったですね。

 −−今回の単行本を始め、東方シリーズはさまざまなメディアで発表されていますね?
 ゲーム自体が絵と文字と音を必要とする物なので、それが本になったとしてもそんなに違和感はないですね。
 もともと東方自体にはゲームには使われていないような設定も用意されています。
 そのおかげで、形態が何であろうと創っている感覚は変わらないです。
 ただ漫画は自分で書いたことはなかったし、もちろん原作を書いたこともなかったので試行錯誤の連続でした。この試行錯誤は今でも続いています。
 狙いは……。たまたまこのような本になっただけなので深い狙いはないです。強いて言えば、小説に出てくる三妖精があまり馬鹿じゃなくてびっくりしていただければ。

 −−三月精の主役(?)である妖精という存在についてお聞かせください。
 妖精は、そこにいて当たり前のものをあらわしています。
 自然は思い通りになるものではなく、時には悪戯好きで何をするのかわかりません。そういうイメージを妖精という形で表現しています。
 妖精は、誰の敵でも味方でもない単純で純粋な種族です。
 この漫画に限って言えば、力が強すぎる妖怪や、霊夢や魔理沙たちのような超人的な人間を主人公にしてしまうと、まったりというより冒険や戦闘がメインになってしまいそうでしたので、妖精を選びました。
 普通の漫画の主人公に一般人を選ぶのと同じですね。

 −−幻想郷の今後や展開についておしえてください。
 当然変化していきます。
 幻想郷は外の世界と実際には陸続きですので、現実にあり得ることは幻想郷でもあり得ます。
 残念ながら、外の世界の自然はこれから豊かになることは難しいかもしれません。ですが、幻想郷は外の世界で忘れ去られた物、絶滅した物が移って来やすい場所です。
 長期的に見れば、幻想郷の自然は豊かになっていく、妖精の数も増えていく一方だと想像します。

 −−では、最後に、一応、単行本化記念号外と言うことなので、この単行本で初めて東方に触れる方に対してなにかメッセージを。
 東方は常に初心者に優しくないスタイルでお送りしております。
 これは本編をやっていないからとか、一切関係ありません。
 本編も同様に不親切です。
 緻密な設定から推理するとか、本編のサブストーリーとして楽しむとかではなく、何となく感じられる「東方」の不思議で心地の良い世界をまったりと楽しんでいただければ幸いです。
 わかりやすく言えば、この本だけでは東方のすべてはわかりませんが、わからなくても楽しむことはできますよ、といった感じです。

 −−ありがとうございました。


 <おまけのあとがき>

 初めまして、ZUNです。
 単行本と言うか何と言うかな本を手に取っていただき、誠に有難うございます。
 さて、マシンで動くプログラムで出来たアプリケーションには、知っての通り様々な物があります。
 仕事に必須なビジネスソフトから、機械を制御するプログラム、娯楽の為のゲーム、まあ、用途も形態も多種多様です。
 そんな中に、余裕が出てくると生まれてくるソフトが、景色を眺めたり、熱帯魚を眺めたり、ペットを飼ったりするだけの環境ソフトです。余裕の塊です。
 私が思うに、妖精はそんな余裕から生まれる環境ソフトの様な物なんです。
 この妖精漫画は、形態が漫画であると言うだけで、基本は幻想郷の環境ソフトであって欲しいんですよね。
 余裕から生まれる漫画の一つ。
 漫画としての文法に沿っていなくても、漫画単体で完結していなくても、漫画足るポイントを押さえていない物があったって良いんじゃない?
 だって妖精なんだもん。

 <単行本収録の楽曲について>

 東方のキャラは大抵はシューティングのボスです。だから、専用のテーマ曲が存在します。
 そんな中、三妖精にはテーマ曲がありません。これではいかんと思い、三人のテーマ曲を用意しました。
 基本はゲームに使えるような曲として書いてあります。妖精という事で単純で判りやすいメロディになるように注意しました。
 これを聴きながらゲーム画面を想像して頂けると幸いです。

 【1.サニールチルフレクション】

 日の光の妖精、サニーミルクのテーマ曲です。
 これはそのままシューティングに使える曲です。もし、三妖精が全員揃ってゲームに出てくる場合も、この曲が一番しっくり来ます。
 いかにも前半ステージのボスといった感じで軽快で重みの少ない曲になっています。
 サビでバックに流れるキラキラするようなピコピコするような音が、サニーらしいと言うか。
 超高速なベースに意外と和風なメロディがマッチしていて気に入っています。
 実際にゲームに使われていないで聞くと極端な勢いですが……。
 ちなみにサニーの光の屈折の能力は、屈折率にすると負の値を取る事が得意です。これは通常の物質ではあり得ない屈折率ですが、自分の姿を隠すのに最適な屈折と言えます。
 ルチルの屈折率なんて、最初から目じゃ無いんですね。

 【2.夜だから眠れない】

 月の光の妖精、ルナチャイルドのテーマ曲です。
 少しだけ重くなりました。どっちかって言うとシューティング道中の曲ですね。
 この単行本の小説でも主人公だし、毎回多めに台詞が割り振られていたりと何かと優遇されているルナですが、そのお陰で虐められやすいです。
 と言うか、一番理解し易い一般的な性格なんですよね。夜起きてしまうのも何となく馴染みやすい。
 この曲は、小説のイメージも混ぜてあります。
 よくよく聞くと非常に変な拍子だったりしますが、それを感じにくいつくりになってると思います。
 そして、夜だから眠れない。
 これ程、端的に妖精と妖怪の境目を表現した曲名はないと思います。
 人間は、夜なのに眠れない。妖精は、夜だから眠る。妖怪は、夜だから眠らない。
 で、彼女は夜だから眠れない。眠りたくても眠れないんですよね。月の光が眩しすぎて。

 【3.妖精燦々として】

 星の光の妖精、スターサファイアのテーマ曲です。
 何か暢気そうでノリノリです。どっちかって言うとエンディングの曲ですね、って使えないじゃん。
 星空の下で手を振りながら楽しそうに歩いている場面を想像しながら作りました。
 何か楽しそうで良いですよね。
 でも、曲に何処か寂しい感じがするのは、三妖精のほかには誰も居ないイメージが曲から感じられるからでしょう。
 でも、それは妖精にとって何も寂しい事ではありません。
 妖精とは常に単独行動を取るものです。三妖精の様に中まで行動する方が珍しいのです。
 そんな事を感じさせる曲です(そこまで感じられないって)。
 スターは通常はサニーとルナのやり取りを見守る立場なんですが、たまに惚けた事を言って空気を変えたりします。
 スター、星は多様性の象徴、惑星、彗星、流星など、様々な種類の星があります。


 −− 博麗神社 神主・ZUNインタビュー −−

 神主の言霊
 東方プロジェクトの生みの親にして博麗神社の神主ことZUN氏の直撃インタビューを収録。神主が語る「東方」にまつわる逸話の数々を心に受け止めよう。

 ZUN●ずん
 同人音楽・ゲームサークル「上海アリス幻樂団」の主催者。サウンド、シナリオ、プログラム、グラフィックのすべてをひとりで担当しており、ファンからは「神主」として親しまれている。

 【初コミケでの落選は結果的には良かった】
−−「東方」を生み出したきっかけは?

 ZUN:大学生のころ、ゲームミュージックを作りたいと思ってたんですが、その音楽を流すゲームのアテがなかったので「自分でゲームを作っちゃおう」と思ったのが最初のきっかけですね。
音楽を流すためのゲームが必要だから勉強してプログラムを組もう、プログラムを動かすためには絵が必要だから絵も自分で描こう、という感じで、自分ひとりでやってたらどんどん作業項目が増えていって(笑)。
で、昔から和風というか東洋風の音楽が好きだったので、自然とそれに合わせて作った「東方」もオリエンタルなテイストのゲームになっていったわけです。
だからまず音楽をやりたかったというのが原点で、それは今でも変わってないんですよ。
ゲームと同様に音楽CDも発表してますし、そもそもサークル名からしてそういう方向の名前ですし(笑)。
ちなみに実は、一番最初に音楽サークルで参加しようとした冬のコミックマーケットに落選しまして、作った音楽CDが出せなくなったんです。
それで次の夏コミまで時間が生まれたので、せっかくだからその音楽に合わせてゲームでも作ろうかなぁ、と。
それでようやく翌年の夏に初参加となったわけですが、初参加の音楽サークルが最初に発表したものがなぜかゲームというヘンな状態になってしまって(笑)。
まぁ今にして思えば、それは結果的に良かったんじゃないかと思ってるんですけどね。

 【音楽でプレイヤーの潜在能力を引き出す】
−−「東方」の曲作りにおいて、心がけているポイントはどこですか?
 ZUN:
これはちょっと人体の不思議なんですけど、アップテンポな曲とスローテンポな曲とでは、弾を避けられる確率というか度合いが変わるんですよ。
ステージに合わせていろいろ曲を作っては試しプレイをするんですけど、テンポが合わなくて全然避けられないような曲はボツにして作り直したりしますから(笑)。
ほら、ゲーセンでも音がよく聞こえない店だと上手くプレイできなかったりするじゃないですか。
あれと一緒なんですよ。それでたとえばボス戦とかで、神経を集中させないと避けられないような弾がくるぞ、という状態のときに、
自分のなかの集中スイッチのようなものがカチッとうまく入ったからクリアできた、もしくはうまく入らなかったせいで簡単に弾に当たってしまった、
というような経験をSTG好きの人なら体感したことがあると思うんですよ。
なので僕は曲作りの際、音楽によってそのスイッチを強制的に入れてあげられるような曲を作ろうと心がけています。
敵弾が少ないときは少しスローテンポで、弾が増えていくにつれてテンポを上げていくといった具合に、プレイヤーが気持ちよくノリよくプレイできるように音楽を調整することに気をつけてますね。

 【もはや3人の妖精は自分で勝手に動いている】
−−「東方三月精」はどのような発想や経緯で誕生したんでしょうか? 
 ZUN:
最初に企画を頂いたとき、「東方」のコミック版ということ以外何も決まってなかったんですよ(笑)。
でもゲームのシナリオをなぞるだけの内容にはしたくないと思ったので、じゃあコミックオリジナルの話にしよう、オリジナルの話にするなら、主人公が普通に霊夢や魔理沙のままでは面白味がないから、
主人公もオリジナルのキャラにしてしまえ、と。それで、その新しい主人公と従来の「東方」キャラを絡ませる場合、その新主人公は世界観のバランスを崩さないようにあまり強くないほうが好ましい、
じゃあ「東方」で弱い立ち位置の妖精に、その妖精もひとりより3人くらいいたごうが楽しそうだな、というような流れで固まっていきました。
小説だと状況描写があるので主人公が何を考えてるのかを読者に伝えやすいんですが、コミックだと誰かがそれを説明する必要がある。
だからそれぞれの気持ちや状況をベラベラと読者に教えてくれるような、複数のおしゃべり妖精が誕生したわけです。
毎回どんな話にしたらいいか模索しながらやってるんですが、彼女たちの会話は考えていて楽しいですよ。
ツッコミ役とボケ役みたいに3人の性格も分かれてますし、結構この娘たちは勝手に動いてくれちゃってる感じがしますね(笑)。
−−3人の中で一番のお気に入りは?
 ZUN:
選ぶとしたらルナでしょうか。
話のなかで使いやすいんですよ、いじられ役タイプなので(笑)。
コミック中でも完全にルナメインの話を作りましたし、彼女みたいに能天気すぎずにちょっと悩んだりとかするタイプのほうがストーリーの主人公にしやすいですね。
−−「東方三月精」の見どころは?
 ZUN:
とにかくのんびりと(笑)。特に深く考えずにまったりと楽しんでいただいて、「あぁ、何となくこんな世界いいよな」って読者のみなさんに思ってもらえたら嬉しいですね。
ゲーム中だと戦ってるようなキャラクターたちの、戦ってないときの普段の姿や日常生活を描けるのは僕自身楽しいです。
−−この三妖精をゲームや違う作品などに登場させる場合はどんな風になる?
 ZUN:
ゲーム本線のシナリオに絡ませるとなると、結構難しいんですよね。
まず力が弱いですし、ボスとして登場させるにしても、3人1組の敵というのはすでに「プリズムリバー三姉妹」でやってますし(笑)。
基本的に「東方」で妖精はザコ扱いなので、出すとしてもザコに交じってる程度かも(笑)。
だから妖精でボス扱いのチルノは、妖精のなかではかなり飛び抜けて強い部類になるんですよ。
それで三妖精がそこまで強いのかというと、かなり微妙です(笑)。
彼女たちはコミック用に作られたキャラなので、戦いには向いてないんですよ。
だからゲーム中で敵として出すというよりは、エンディングでちょっと顔を出すとか、別のメディア作品で登場するとか、もしくはまったく違うジャンルのゲームを作って、そこで活躍させるとかでしょうか。

 【STGの魅力は単純明快なゲーム性】
−−「東方」のジャンルにSTGが選択された理由とは?
 ZUN:
元々僕自身がSTGを好きだったというのもありますし、STGはプログラム的にも組みやすいんですよ。
いきなり自分ひとりだけではRPGとかは作れないでしょうし(笑)。
それで当時僕が一番好きで、「東方」を作るときにも大きな影響を与えた作品が「ダライアス外伝(タイトー/1994年)」。
この作品もすごくボスが個性的だったんですよ。
魚とかクラゲとかの海洋生物を機械化したようなボスで、ステージの道中よりもボス戦にいろいろと趣向を凝らした内容で。
今だとボスが有名な作品もそんなに少なくないですが、当時はまだ結構珍しくて「ああ、こういう個性的なボスが出てくるSTGを作りたいな」と思ったのがSTGとしての「東方」の根っこの部分になりますね。
東方プロジェクト第1作目の「東方靈異伝」は96年の発表ですが、当時はまだ「弾幕」という言葉はなかったんですよ。
その後の97、98年ごろから弾幕っぽいのものが増えてきて、自機もいろんな種類の弾が撃てるようになってきて。
「弾幕」という言葉もそのあたりの時期に生まれたんじゃないかと思います。
−−なぜ「東方」は「横シュー」でなく「縦シュー」なんでしょうか?
 ZUN:
やっぱり「縦シュー」(縦にスクロールするSTGのこと)が好きだからでしょうね(笑)。
体を画面に向けたとき、上に向かって進んだほうが自分が前方に対して撃っている感じが強いじゃないですか。
「横シュー」だと、外側から他人のプレイを見ているような印象を受けちゃうんですよね(笑)。
−−ZUNさんにとってSTGの魅力とは?
 ZUN:
やっぱり単純なところでしょうか。撃てば敵を倒せるし、弾が当たれば自分が倒れるわけですし。
あと自発的な行動をする必要が少ないジャンルのゲームですよね。
特殊なSTGじゃない限り、基本的に弾に当たりさえしなければ先に進めて、出てきた敵を倒しさえすればいい。
勝手に画面がスクロールしていくので、RPGみたいにどこに行けばいいのか迷うこともないですしね。

 【「東方」で最優先なのはおもねらないということ】
−−魅力ある「東方」キャラクターはどのように生み出しているんでしょうか?
 ZUN:
一番最初は思いつきが多いんですよ。思いついて、それを調べるために文献を読むというパターンです。
その思いつきも、意外性を重視して、ベタな感じにはしないように気をつけてます。
たとえば「鬼」を出すとしても、ベタベタな鬼にはしないで、かつマイナーすぎないようする。
まったく聞いたことない妖怪とか出てきても「何それ?」って思われちゃうじゃないですか(笑)。
あとはゲームに出てきたら盛り上がるような存在であるとか、STGに出てきてもおかしくないようにちゃんと戦えるキャラであるとかの点を大切にしています。
内気であまり表に出てこないキャラクターがSTGで外を飛んでるのもおかしいですからね(笑)。
−−東方プロジェクトにとって一番大事なもの、譲らずに貫きたいことは?
 ZUN:
自分が楽しいと思えることをやる、というところでしょうか。
その世界自体が楽しげで、その話を書いたりゲームを作ったりするのを楽しむという部分だけは変えたくないと思っています。
商業ベースのゲームだと当然ユーザー第一に考えて、ユーザーを楽しませることをメインとして作らなきゃならないんですが、それが同人であるならば、自分が楽しいと思えることを第一としたい。
だからクリエーターというよりは、どちらかというと芸術家に近い感覚ですね。
クリエーターはいろいろな人のことを考えなきゃいけませんけど、芸術家は誰になんと言われようと自分の道を信じて進むだけなので、そちらが僕の目指す理想でしょうか。
自分自身が納得のいくものを作ることが何より重要だし、それがたとえ世間に認められなくても作品が売れなくても、それだけは曲げたくないな、と。
「東方」の世界は、基本的にゆったりとした時間のなかで、のんびりとした空気が漂っている作品です。
特に「三月精」に関しては、そのまったり感を骨の髄まで味わってもらって、忙しい毎日の息抜きにしてもらえたら嬉しいですね。

 <神主直筆色紙>

 冬の精
  見えず聞こえず
   感じれず
  森を抜けよと
   大木の前
     に戻ってきちゃうんだよな〜
      困ったもんだ……
 道に迷い中の魔理沙



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