ぶっちゃけ1巻より先に2巻から読んでもいいかもしれません。
 一話完結スタイルですし、魔理沙やチルノも大活躍。

 と言う事で「魔理沙編」とも呼べる2巻の始まりです。


<はあ…一日しか経っていないのに…なんでこんなに蔦で覆われているのよ〜!

 と言う事でしょっぱなから触手責めにある三妖精。
 じゃなくて蔦(ツタ)に覆われる三妖精の家(森の木)
 毟っても再生します。

<こんな蔦が普通の職ぶなわけ無いでしょ? これは妖怪の幻惑か何かの仕業よ!
    きっと、家の中にその手の妖怪が棲みついてんのよ

 流石は三妖精の頭脳サニーミルク。
 レーダー能力を持つスターも、中に気配がある。

 だが幻想郷最弱クラスの妖精では、妖怪には勝てない。
 妖精は異変で困った人間を見て愉しむだけ。
 異変解決はその手の専門家に頼むしかない。

<−−で、何で私に相談してるのよ

 巫女とかの人間となんとなく会いにくい三妖精は、なんとなくアリスさんを頼ってみる。
 割と異変解決に首を突っ込んでるような気がする人。永夜抄・萃夢想・緋想天・地霊殿。
 しかしアリスさんの反応はというと……。

<妖怪退治を妖怪にお願いする妖精が一体どこにいるって言うの

 な、なんだってー!?

<それに私−−他の妖怪のやることなんて全く興味がないわ

 いや、その理屈は(ry
 いつの間にか作ってた三妖精人形をけしかける。サニー人形がサニーのほっぺをプニプニしたり。
 だが三妖精も妖怪の蔦のせいで家に帰れなくて困ってます。
 でも「仕事に関しては無慈悲だって話」の某巫女は相談出来ません。

<あら、こんな所に妖怪と妖精の住処があったわ。同時に退治できて一石二鳥ね!
 ↑イメージ映像

 てな感じでサニーたちも退治されかねない。
 しかしこの巫女、清々しいまでの外道です。
 だって霊夢だし。

 仕方ないのでアリスさんは「なんでも屋」を紹介してくれます。

<ほら、ここに行ってみなさい。ここには妖怪退治から水道工事まで幅広く仕事を受け付けている奴がいるから、
     まあ簡単な異変解決だったら引き受けてくれるんじゃない?

 そして三妖精がやってきたのは、「なんかします。霧雨魔法店」とか描かれてる看板が倒れたカオスな家だった。

<おじゃましま〜…

<おい、そこの店主は出かけているぜ?

 げげっ、あんたは!
 あんたは主人公! 主人公じゃないか!
 外の世界の「止まれ標識」を持っています。

 承太郎 VS DIOで、DIOが標識を武器に承太郎の首を跳ね飛ばそうとしてたなぁ。
 咲夜とジョジョごっこでもやってたのか?

<い…いえ、ここの店にちょっと仕事を依頼しようと思って来たのですが…

<だから店主は今留守だっていっただろう?

 そして魔理沙は霧雨魔法店へ入ったと同時に踵を返し、

<たった今、留守じゃなくなった。さあ、何の用だい?

 ポカーンとする三妖精。
 でも、このノリなんかいいなぁ。魔理沙らしい。
 ともかく何でも屋=魔理沙と言う事です。

 とりあえず何故か地面に座らせられる三妖精。

<異常な再生力を持った蔦で覆われて家に入れなくて困っているんです。私たち妖精では手に負えなくて…だから専門家に頼もうと……

 専門家という単語にぴくっとする魔理沙。
 ちょっと嬉しいらしい。

<まあ、仕事が無くて忙しいんだが困っているのならやってやらないこともない

 相変わらず魔理沙の言い回しは渋くて良いです。

<妖怪退治を引き受けたいのに同業者(霊夢)にみんな持っていかれるんだよ

 との事。
 普段、霊夢は何をやってるんですかねぇ。
 最近思うけどあの腋巫女が「縁側でお茶を啜るのが仕事」というのは割と本当かもしれない。

<持っていかれるというか最初からこんな森の奥地まで依頼しに来られる人が少ないのでは?

 ですよねー

<私だって対策を取っていないわけではない。
   定期的に神社に行って勝手に彼奴(あいつ)の仕事を横取りにすることにしたんだ。大忙しだよ

 というか人里と神社の距離ってどんな感じだろうね。
 慧音や阿求は結構危険らしいとは言ってるけど、実際どんな感じだろうね。
 まあ危険だから賽銭箱は空っぽなんだろうけど。

 というか異変解決を仕事にしてるのが霊夢と魔理沙(+後に早苗)の3人だけなのか……。
 咲夜はメイドの仕事の一環だろうし。

<家に直接来た客は−−お前らが初めてだな。

 いいのか、それで。
 まあ神社への道を魔法の森の方が厄介だという話もあるしなぁ。
 瘴気に溢れてるとかいう話もあるし、魔理沙も色々と免疫とか持ってるだろうから。

 それはさておき三妖精家へ到着。
 草刈りを始める魔理沙だが、妖怪の仕業なので無駄無駄ァ!

<ふむ…まぁ任しておけ。私はあらゆる物の専門家だ!

 あらゆる物に定評がある魔理沙。
 それでも魔理沙なら……魔理沙なら何とかしてくれる……。

 後編へ続くのです。

 <後編>

<あの〜…大丈夫…ですか?

<…………

 無理だったよ!

<…ふっ蔦のわりには中々やるが…幻想郷じゃ二番目だ!!

 ズバーット!
 なんというオッサンホイホイ。

<私は言った! 押して駄目なら…さらに押すっ!! おりゃー!


 正面突破


< ぐわっ!! てりゃ!! ぐえっ! うりゃー! ぐおっ! とりゃー!

<…本当に大丈夫かなぁ

 仕方ないので三妖精は暢気に待っていた。

<………まぁ慌てるな… これは孔明の罠だ

 いかん! これは孔明の罠だ!

<正体なんて関係ない。相手が何であろうと…私の魔法で一撃だぜ!

 そしてついにミニ八卦炉を取り出す魔理沙さん。

<いくぜ!! マスター…

<うわあ

 止めてー! 三妖精の家までぶっ飛んじゃう!

<………ははは…冗談だぜ、お前らの家ごと撃つわけないだろ?

 嘘だッ!

 とは言ったものの妖怪の知識はあまり自信がない魔理沙さん。
 中の妖怪はいびきをかいているから寝ているのだけは分かった。

<ちょっと準備をしてくる

<え…

<まあ心配するな。良いことを思いついたんだよ、すぐ戻ってくるぜ。じゃあな

 そして魔理沙さんは箒に乗って行ってしまった。

<……早く帰ってきてね…

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CA
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                       ヽ  ー= =--'     / ト,                      
                           ヽ.  "'''''''"   | /  |ヽ  ここから蘊蓄のターン!                    
                        ニヤッ,./ヽ "`´   |./    ./  \、 ンフフ
                    -‐ '''"  ̄ /  :| \,,,__,,,, /    /    | `'''‐- 、.._             
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CA
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 三月精の魅力は、自然に紡がれる蘊蓄にあると思うんだ。自然っていいよね。

<おい、突然だが蔦の妖怪っているのか?

<あら魔理沙。そんなに慌ててどうしたの?

<暇だから慌ててみたんだよ。ああお茶はいい。

 と言う事でこっそり霊夢に相談しに行きました。

<(霊夢に手柄を持っていかれてたまるか)。何か知っていたら教えて欲しい。
    理由は…えーと蔦で相手を絡ませて愉しむ魔法を使いたいんだ。

 そこまでよ!!
 ネチョ的な意味でそこまでよ!!
 パッチェさんもそこまでよ!!
 でも最初にそこまでよ!!言ったのは実は旧作アリスだったり(そこまでよ!!

<変な魔法に興味を持ったのね。でも、妖怪を調べるのはまた別の話だけど……

<妖怪から技を盗むのさ

 いつもの魔理沙です。
 と言う事で霊夢はセンベイ食いながら話す。
 一体どこで手に入れたんだ。ああ、香霖堂か。

<うーん…蔦が専門の妖怪はあまり聞いたことはないけど強いて言えば草の神様にあたるのかなぁ

<草の神様?

<草の親玉よ。野槌(ノヅチ)とか……

<聞いたこと無いな

<萱野姫(かやのひめ)様の別名ね。偉い神様なのであまり人前には出てこないけど

 霊夢は無駄に神様の知識は持ってるのね。巫女姿の神様は知らなかったけど。
 というかどこで勉強したんだろうか。
 まあ霊夢は捨て子らしいから。ソースは霊夢の母親(眉唾)らしい魔理沙。

<(人前に出てこないなら今回の妖怪はそいつじゃ無さそうだが……何かヒントになるかもしれないし聞いておくか)
   ちなみにその野槌は何に弱いんだ?

<弱い?何をする気なのかしら?…まぁ良いけど弱点なら除草剤かな

<……何だよそれ

<後は火とか草薙の剣とか……

 ちなみに東方世界の草薙の剣は、霖之助が所有してます。
 魔理沙はそれとは知らん筈ですけど。

 と言う事で戻ります。

<あ、戻ってきた

<遅かったじゃないの

<逃げ帰ったんじゃないかと思ったわ…

 おいおい、建前がなくなってますよ。妖精さん。

 だが魔理沙は香霖堂に行って除草剤を撒こうとしていた!
 そういやリグルとか殺虫剤の話が出てくるけど、そういうものも幻想入りして流れてくるんですかねぇ。
 かなり猛毒らしいし。

<ちょっと待ってよ!人の家で毒をばらまくつもり?

<妖怪退治だ

<この大木だから生きてるんだから、それは禁止!

<一発で退治できそうなんだけどなぁ。他にも火を放つとか

<火気厳禁!

<それじゃあ打つ手なさ過ぎだな

 ダメだ、こいつ。早く何とかしないと……。
 そんな中、空気を読む程度の能力(キャーイクサーン)を使ったスターが、かっぽう着で現れる。

<さ、みんな。そろそろ食事にしましょう?

 と言う事で今日はいっぱい働いた魔理沙(眉唾)は、お腹ペコペコだぜ。

<じゃあさっそ…くわっ!!

 だが、そこに現れたのは蔦だった!
 なんと蔦は料理を一気にたいらげたのだった!
 怒ってぶちぶち蔦を引きちぎる魔理沙さん、サニー、スター。黙って見てるルナ。
 そういや珍しくスターが怒ってるね。お手製料理だからでしょうが。

<くっ! 一体な…

 そしてお腹いっぱいの謎の妖怪が居たのだった。

 それから……

<最近、ペットを飼い始めたんだ。

<また唐突ね

 魔理沙だからしゃあない。

<はぁ? ペットって槌の子(ツチノコ)じゃないの! どうしたの、これ?

<たまたま見つけたんだよ。こいつが大食らいで大変なんだ。

 マジで驚く霊夢。
 と言う事で魔理沙はツチノコをペットとして飼い始めたのでした。

<ははぁん。なるほど。ちょっと前に私に野槌の話を聞いてたのはこれを捕まえたかったからね。

<ま…まぁそうみたいなもんだな

<槌の子は草の神様である野槌の使いよ。力は弱いけどそれなりに草を操ることはできるでしょう。
   蔦の魔法が使いたいってのは本気だったのね

<(そうだったのか……)。どうだ大したもんだろう。私の妖怪退治の腕は?

 そうなのかー

<私だったらそんなのペットにしたりなんかしない。見つけたら瞬時に退治してるわ。

<妖怪だって情が移るときは移るんだ。こんなに可愛いのに退治なんてとんでもない!

<ま、勝手にしなさい。どうせ嫌になってすぐに退治したくなるわよ。そいつはもの凄く大食らいで寝るといびきをかくんだから。

 魔理沙の名言キタコレ。
 一方、霊夢は相変わらず霊夢でした。
 このやり取りは、二人のスタンスの違いが見えて面白いです。

 一方、三妖精家ではというと。

<私が隠れて作っていたお酒がー!

<私が漬けていた香の物がー!

 最初からツチノコは三妖精家の食べ物が目当てだった。意外といい暮らししてるしなぁ、三妖精。
 魔理沙がツチノコを退治したのではなく、食べ物がなくなったから逃げただけだったのかもしれない。

<私の茸の盆栽も食べられてる……

<そんなもん育ててたのか……

 お後がよろしいようで。

 <雑感>

 
魔理沙編スタートですね。
 三妖精とは仲いいんだか悪いんだか分からん関係が面白い所。チルノともそうだけど。
 と言う事で2巻は魔理沙の出番が多いです。チルノも居るけど。

 あー、やっぱりいいなぁというのが「魔理沙がツチノコをどうしたのか」というのが読者の想像に任せられてる所ですか。
 霊夢の言うとおり、やっぱツチノコを飼うのに耐えれず捨てて、地底のさとりにでも拾われてるのか。
 はたまた飼い続けて、本当に蔦を絡ませて相手を愉しむ魔法を覚えたのか。
 魔理沙をどう解釈するかによって、どうとでも変わってきそうですね。

 こういう良い意味での解釈丸投げが三月精の面白い所だと思います。
 存在そのものが「ほのぼの萌え漫画」なので、蘊蓄も気にならない程度のエッセンス。
 やっぱいいなぁ、この漫画。

 どうでもいいけど今回、魔理沙って何もやってなくね? inserted by FC2 system