<訳のわかんない嘘設定もどき>


 ○ 咲夜と永琳に関して

 十六夜咲夜は八意永琳の娘。
 約千年以上も昔に存在していた月の人。その頃の名前は「八意サクヤ」
 人工授精によって生まれたため父親は居ない。
 カグヤ(輝夜)が地上へ落とされた直後に出産した子供なので、サクヤとカグヤは直接面識はない(二人は東方永夜抄で初対面)

 永琳は「蓬莱の薬」を服用した妊婦からどんな子供が産まれるかを知りたかったが故に、輝夜と共謀して蓬莱の薬を作った。

 月に居た頃から、サクヤは普通の人間と仲良くやっていく事を諦めていた。
 母親である永琳も、輝夜の事ばっか考えていて、咲夜は寂しい思いをしていた(なお、永琳はそれなりに咲夜の事を想ってた)
 だから、永琳が月の使者を寝返ったとき、真っ先に次なる月の使者として立候補。
 地上に降りて、永琳にデフレーションワールドをぶち込むも避けられ、懐中時計に封印されてしまう。その間、年はとらない。
 そのまま永い時が過ぎて、レミリアに拾われ、そこで働くようになるが、六十年で記憶は死ぬためか、過去の詳しい記憶はほとんどない。
 永琳が自分の母親だという事も忘れてる。
 だが永琳自体は、咲夜は自立してるので、それでも良いと思ってる。自立した子供を手放すのが親なのだ。

 なお、月の使者は執念深いため、殺さなければ追ってくるのを止めない。
 だからこそ、永夜抄で咲夜を見た永琳は、咲夜が月の使者だと思って大変驚き、また鈴仙と輝夜を守るために身構えていたのだが
 どう見ても咲夜に過去の記憶はないみたいだし、悪魔に良いようにコキ使われてるような上に、本気を出してないみたいなんで、そんなに身構える事でもなかったようだ。
 何より悪魔と罪人の差異はあれども、癖が強い主人の従者をやってるという意味で、娘が自分と似た道を歩んでる事に親近感を抱いてるのかもしれない。

 余談だが、咲夜もそれなりに薬を作れる。薬の精製が苦手なパチュリーのために喘息用の薬も作ってた。
 永夜抄以後は、たまに永遠亭まで出向いて薬を貰ってる。


 ○ 蓬莱人の子供が受ける影響とは。


・魂を紅い人口爪へと変える事が出来る。
 咲夜は永琳の腹を切り裂いて産まれて来た。当然永琳は蓬莱人なので死ななかったが。
 傷魂「ソウルスカルプチュア」は、咲夜が無意識の内に、この能力を使ってる。
 ちなみにナイフ抜きでもソウルスカルプチュアは使える。だが、ナイフ持ってたほうが気分が出るので持ってる、その方が威力も高い。


・精神的な高ぶりと共に、紅い狂気の瞳になれる。
 狂気の瞳になると色々力が強くなるが、普通の人間は狂気の瞳になったら元に戻る事は出来ない。だから予防しなければならない。
 (永夜抄冥界組エンドで、永琳が幽々子と妖夢に忠告した通り。また妹紅は、輝夜憎しの念で月を見上げすぎたために狂気の瞳になり、もう手遅れ)
 月に居た頃の咲夜は、普段青い瞳をしていたが、幻想郷でマッタリやってく内に紫の瞳へと変化した。心を許せる存在が傍に出来た事が要因か。
 ちなみに紫の瞳の時が一番落ち着いている。青い瞳の時はそれなりに波長が短い(短気)
 咲夜の性格が、紅魔郷(紅目) 妖々夢(青目) それ以降(紫目)と後になればなるほどマッタリ変化していくのは、このせい。

 余談だが、咲夜は狂気の瞳になると、毒を無効化出来る。これは母(永琳)から受け継いだ肉体能力。
 花映塚でメディスンのスイートポイズンを時止め中に無効化出来るのは、時止め中は無意識に八意の肉体能力を使ってるから。
 普段は毒を無効化出来ないので、レミリアやパチュリーの紅茶に毒を混ぜても、その紅茶を口にはしない(四季映姫に説教されて、毒を入れるのは止めてはいる)


・時間と空間を操れる。永琳はこの能力を見て咲夜を「生まれついての奇術師」と形容した。
 非日常の時は時間が止まる(紫香花の公式設定)のだが、咲夜は自分の意思で止められる。
 この辺に関しては特に言及はしない。ただ、時間を止めてる最中はナイフが刺さりにくいらしい。


 ○ 月の人について

 何よりも歴史を重んじる。地上に人が居なかった頃から月には人が居たらしい(永琳が詠唱組に語ったとおり)
 地上人は歴史を伝える事をしない(書籍版文花帖のアリスや慧音の欄。香霖堂第十六話の霖之助の言葉より)
 逆に月の人は、子供に歴史を伝えていく事を何よりも大切にする。
 だから栄華を極めていた。また、地上人を妖怪に変えて数を調整してきたのも大きい(輝夜が紅魔組に語ったとおり)
 月が攻め込まれたのは幻想郷に妖怪が封印されて、地上人が暴走したため。

 ちなみに輝夜が罪人として罰せられたのは、不老不死の人間は、永く生きる事で歴史を改変する恐れがあるが故に。
 永琳は月の歴史について熟知していたが、輝夜はそんなもん知らないので、罰せられた。
 なお、咲夜は永琳が罰せられないのは、永琳が有能なせいだからと思ってた。


 ○ 秘封倶楽部について

 かつて紫が人間だった頃、所属してたサークル名。原作では音楽CD「蓮台野夜行」や「夢違科学世紀」で登場。
 当初のメンバーは、メリーごとマエリベリー・ハーン(八雲紫の旧名)と宇佐見蓮子の二名のみ。
 元々は現代人なのだが、幻想郷に来る際に、300年以上前まで遡ってしまう。そして二人は幻想郷を築き上げる始祖となる。


 ○ メリーと紫

 メリーは境界を越える能力を持っており、それで「人間と妖怪の境界」を超えて、すきま妖怪・八雲紫へと変化した。
 本来、妖怪とは輝夜曰く月の民が地上人を調整するために地上人を変化させたものだが、紫だけは例外であり、それ故に一人一種族(文曰く)なのである。
 月が地上人に攻められたのが妖怪を幻想郷に封印したためならば、
 月によって妖怪変化した訳ではない紫が、間接的に地上人の暴走を助長したのは皮肉である。


 ○蓮子と博麗

 宇佐見蓮子は、鈴仙・優曇華院・イナバと同じく、月から逃げ出してきた月の人である。
 メリーの親友で、空を見ただけで時間と今居る場所を理解出来る。
 約300年程前に幻想郷を作る際に「博麗蓮子」と名乗り、自らの血筋を幻想郷の法律そのものとした。
 要するに、東方シリーズの主人公である博麗霊夢は蓮子の子孫。
 「紅白の服を着る」「縁側で茶を飲む」「掃除をする」「異変が起きたら解決する」という博霊の規律を創ったのは蓮子。
 また、月の人は歴史を伝えていく習性がある。博麗の者だけが幻想郷で唯一規律を持つのも、その辺の理由。
 余談だが、博麗の血筋は代々天才で、色んな事が出来るが決して自慢したりしない。
 その上「空」に関係する能力を持つ。
 蓮子は「空を見る能力」。霊夢は「空を飛ぶ能力」という訳だ。


 ○人間と妖怪

 これは一応公式設定なはずだが、基本的に異変を解決するのは人間である。妖怪は楽しんでるのがほとんど。
 博麗の者はそれを仕事としているが、解決するのは博麗でなければいけない訳ではない。
 人間でさえあればいいのだ。異変を解決するのは。
 異変を面白がってる魔理沙が解決しても問題は無いし、
 咲夜も人間である以上、異変を解決する資格はある。妖夢も半分人間なので、然り。

 東方萃夢想と東方永夜抄で、アリスやレミリアなどが動いたのは例外中の例外なのだと思う。
 主に相手が強大だったからというのが大きい。
 アリスが「こういうのを解決するのは人間でしょ」とぼやいてたり、
 萃香がレミリアに「相手が強大だから人間に任せたら危ないと思ったから自分で動いた」と言ってたりもする。

 人間は妖怪を退治し、妖怪は人間を襲う。
 しかし、今の妖怪はお約束で人間を襲うだけのよくわからない生き物になってる(輝夜談)
 まあ、それが平和だって事なのかもしれない。


 (06年03月08日追加)


 ○秘術「天文密葬法」について

 秘術「天文密葬法」とは、東方永夜抄において、永琳が使用するスペルカード。
 禁薬「蓬莱の薬」を除けば、永琳が使用する最後のスペルカードだ。一応、ボムバリアもついてるが地味である。

 だが、それは永琳が本気を出してないからである。
 本気を出した「天文密葬法」は、対象を身近な物に封じ込め、ほぼ無限の時を無力化するという効果を発揮する。もちろん、原作設定とは無関係。

 それはともかく、1200年以上も昔の人間であるサクヤ(咲夜)が、現代の幻想郷に存在している種明かしがこれなのだ。
 母を殺すべく、月から使者として送り込まれてきたサクヤだったが、永琳には全く攻撃が利かなかった。
 永琳にしてみれば、サクヤを放置出来ないし、輝夜にも危害を及ぼす恐れがある。
 なので、「天文密葬法」を使用して、サクヤを懐中時計に封じ込めたのだ。

 「密葬」とは、身内で葬式をすること。また、その葬式。の意味である。
 永琳にしてみれば、それは八意家だけの密葬だったのだろう。


 だが、1200年以上立ち、サクヤが封じられた懐中時計は、悪魔が住む紅い屋敷へと流れ着き
 弱まった「天文密葬法」は、紅霧と十六夜月の力で解除されるのである。中の少女は、大まかな知識を除き、全ての記憶・歴史を忘れ去り
 「十六夜咲夜」として悪魔に仕えるようになる。咲夜本人もそれでいいと思ってる。


 ○紅魔館のメイドについて

 紅魔館のメイドのほとんどは、妖怪の類(咲夜除く)。妖精かも、悪魔かもしれない。
 少なくとも「三月精」第一話に出てくるメイドの背中には羽が生えている。 どう見ても人間ではない。

 ただし、基本的にメイドは上から指示がなければ、マトモに動けない。
 それ故に、咲夜はメイド長として、彼女らに指示を出す。これもメイド長の仕事である。


 (2006年9月5日更新)

 ○メリー・紫と博麗

 「夢違科学世紀」によるとメリーの家系は、元々霊感が強い一族だったらしい。
 本ページでは、メリー(=紫)は博麗の家系に連なる人物であるのではないかと仮定。
 境界を操れるのは、博麗の血筋による恩恵も多分に含まれている。


 ○博麗と桜崎

 西方シリーズの最新作「幡紫竜」のプレイヤーキャラには桜崎比良乃という巫女が居る。
 比良乃は陰陽玉らしきアイテムを使用している事から、博麗家との関連があるのではないかと仮定。

 桜崎家は、博麗家の分家筋。
 博麗の巫女が幻想郷の中で博麗大結界を守り、桜崎の巫女は幻想郷の外から博麗大結界を守る。
 そうして別たれたのが、博麗の巫女と桜崎の巫女。

 ちなみに「幡紫竜」にはZUN氏が関わってないのだが、西方と東方は世界観を共有している事でこじつけてみた。


 ○メリーと比良乃

 メリーと比良乃は従姉妹。勿論、原作にはそんな設定はない。
 だが秘封倶楽部と西方は「近未来」という点で世界観を共有している。
 その辺をこじつけた上で、秘封倶楽部と西方を繋げやすくするための捏造設定。

 ちなみに比良乃は巫女さんの仕事を普段しているのだが、ご時世がご時世なので学校にも一応通っているらしい。留年なしで。
 ここで言う巫女さんの仕事とは、怨霊に取り付かれたエネルギーを解放するために火星に出張したりとかである。


 ○鈴仙や永琳が、妹紅を様付けで呼ぶ理由。

 拙著SSでは、基本的に永琳や鈴仙が妹紅を呼称する際は「妹紅様」と様付けで呼んでいる。
 これは公式ではないが、06年9月5日現在で永琳や鈴仙らが妹紅と会話する場面がなく、呼称も不明なので創作である。

 様付けな理由は「主人の友人だから」。
 幻想郷では主人の友人は様付けする人が多い。咲夜→パチュリー然り。妖夢→紫然り。
 輝夜は妹紅の事を「迷惑な奴」と思ってる半面、初めて出来た友人だと思ってる節もある。
 それを汲み取った永琳が勝手に妹紅を様付けで呼んでるだけという話。

 ちなみに06年9月5日現在、輝夜と妹紅の対決が、ZUN氏の手で書かれた事はない(「書籍版文花帖」で事後はあったが)
 ただ「書籍版文花帖」やコンプエースの「桜の距離」を見る限り、馴れ合いはあるようだ。



嘘SS.東方漢乃宴






 今、幻想の郷に漢達の熱き叫びが響き渡る……。


 幻想郷の人里から離れた魔法の森。
 その森のすぐ近くに古道具屋「香霖堂」はある。

 ――カランカランカラン
 店の入り口で客が来た事を示す音がした。

「いらっしゃい、って貴方は……」

 香霖堂の店主である森近霖之助は、その客を見て驚いた。
 亀は万年とは言うが、香霖堂に訪れた客はそのぐらい長く生きて妖怪化した亀だった。
 そしてその妖怪亀は彼にとっても酷く懐かしい存在であったからだ。

「ふぉふぉふぉ。久しぶりですな。霖之助殿」

「ええ。お久しぶりです。
 3年ぐらい前の紅霧異変の頃から姿が見えなかったので心配だったのですが……」

 その妖怪亀は、かつて空を飛べなかった頃の霊夢と共に弾幕を潜り抜けた亀だった。
 子供が跨っても全然平気なほど、その背中は広い。
 昔の霊夢は、この亀に乗って魅魔や神綺、風見幽香、アリス・マーガトロイドといった強敵達と共に遊んだ物だ。
 その名は玄爺と言う。

「御主人様は、もはやわしが居なくても自ら空を飛べるまで成長なされたので休んでおったのじゃ
 御主人様が心配じゃったが、まあ魔理沙殿もいるし問題はないだろうという事でわしは隠居しておった
 ただ御主人様や魔理沙殿に内緒で抜け出してきたもんで、ちょっと心配じゃったが」

「霊夢も魔理沙も貴方の存在をすっかり忘れてましたけどね」



 ――隠居をしてた身から、再び姿を現した玄爺。
 だが姿を現した漢は彼だけではなかった。




 博麗大結界の外界のとある軍隊。
 30年前。外の世界で殆どの植物が死滅した事がある。
 その際、世界中で暴動が起こり、それを鎮圧するために、結成された軍隊だった。

「ゲイツ隊長! ポイント801に出撃要請が!」

 オペレーターの報告を受けて、軍人・ゲイツはその傍らに立った
 「カレイドスクリーン」と呼ばれる近代技術により、軍事技術も大きく進歩している。
 ゲイツはカレイドスクリーンに映し出された情報を見て、一人呟く。

「バカデカい結界だな……。東方の神秘って奴か」

 ゲイツは、赤いベレー帽をかぶり部下に指示を出す。

「日本……か。了解と伝えておけ。すぐに「SB-00」で出る」

「了解」
 
 「SB-00」――それは大火力と完全武装を施した巨大な機体。
 かつての大異変で唯一死滅を逃れた植物−サボテン−から取り出した「サボテンエネルギー」を動力としている。
 サボテンエネルギーは、かつて地球上の主エネルギーであった核エネルギーをも越えるエネルギーを生み出す。
 それ故に、危険も多いエネルギーである。
 巨大な外見をしているのは、ゲイツが異空間で暴走したサボテンエネルギーの恐ろしさを知っているからである。

「ああ、それとちゃんと「ぴんく」に塗ってるんだろうな」

「勿論です。ちゃんと「ぴんく」に塗っておきました」

 ゲイツ専用カスタム。
 そのイメージカラーは「ぴんく」である。
 その上、犬が嫌いなゲイツの年齢は48である。


 ――幻想郷に集結しつつある漢達。
 だがそれは、ゲイツだけではなかった。



「VIV。応答してください。 ……返事は、ないですな」

 初老の紳士、エーリッヒはお使いを任せたメイドロボット”VIVIT”の帰りを待ちながら呟いた。
 65歳という高年齢のエーリッヒの体は、その半分以上がサイボークと化している。

「大した用事ではないはずですが、さて」

 VIVITが寄り道したり道を間違ったりするのは日常茶飯事であった。
 だが3年前お使いに行ってきたVIVTTは、帰ってきたときに空を飛ぶ黒い魔女と紅白の巫女と交戦したと言った。
 その弾幕の濃さは尋常ではなく、VIVITの損傷もそれなりにあった。
 また、その直後の事件では幽香と名乗る妖怪少女とも交戦している。

 エーリッヒは、カレイドスクリーンに写った映像を見る。

「ポイント801…… 結界の向こうに異空間が…… まさか、VIV!」

 巨大な結界。
 そしてVIVITの反応が消えた場所。
 VIVITはそこに消えたに違いない。

 エーリッヒは、すぐさま巨大ロボット「ハイベイオンD−II」を調整して、VIVITを救出に向かった。



 ――そして過去より蘇る亡霊達。


 十人が食事に出かけた 一人が喉をつまらせて、九人になった

 九人が遅くまでおきていた 一人が寝過ごして、八人になった

 八人がデヴァンを旅していた 一人がそこに残って、七人になった

 七人が薪を割っていた 一人が自分を真っ二つに割って、六人になった

 六人が蜂の巣をいたずらしていた 蜂が一人を刺して、五人になった

 五人が法律に夢中になった 一人が大法院に入って、四人になった

 四人が海に出かけた 一人が燻製のにしんにのまれ、三人になった

 三人が動物園を歩いていた 大熊が一人を抱きしめ、二人になった
 
 二人が日向に坐った 一人が陽に焼かれて、一人になった


「一人が弾幕を避けきれず そして誰もいなくなった」

 有名な童話を謡いながら、フランドールはその人物を見据える。
 「小竜公ドラキュラ」「串刺し公」数々の悪名で呼ばれたルーマニアの英雄。
 ヴラド・ツェペシュの姿を。


――彼らもまた漢であるのか……


 枯れた桜の下で対峙する二人が居た。
 一人は富士見の娘、西行寺幽々子。
 そしてもう一人は、佐藤義清(のりきよ)と呼ばれる男。
 またの名を西行法師と呼び、幻想郷の歌聖として名をはせた人物。

「我を打ち倒すのだ、富士見の娘!」
「蓮台野の桜の元へ還りなさい、幻想郷の歌聖!」

 二人は相克し…… 激突する。


――そして明かされる過去……



 永遠亭の「四季の間」。
 居るのは、輝夜、永琳、鈴仙、慧音といった面々である。

「はあっはあっ……」

 その中で、輝夜は酷く錯乱していた。
 てゐは遊びに行っていたはずの兎達を、永遠亭に戻そうと外へ行った。
 妹紅は妹紅で、どうせ死にはしないだろうという事でどっかへ行ってしまった。

「どうして、あの人が……」

 いつものように輝夜と妹紅が殺し合い(遊び合い)をしていた時
 突然、謎の男が二人に襲い掛かってきた。
 そして史は、輝夜しか本物を持っていないはずの「蓬莱の玉の枝」を使ってきたのである。
 その場に居た永琳や慧音の手助けもあり、何とか男を撤退に追い込んだが謎が多い男だった。

「姫……。あの人間について知っているのですか?」

 永琳の問いに、輝夜が息を大きく吐いてから答える。

「ええ。昔、地上へ落とされたばかりの頃…… 永琳と逃げる前の話だから、永琳も知らない人。
 あの方の名前は、中臣史(なかとみの ふひと)……。
 私の大切だった人よ……」

 輝夜が出した名前に、慧音が反応する。

「中臣史? それはまさか……」

 藤原不比等の旧名…… 妹紅の父親じゃないか。


――そして戦いの幕が上がる。


「G.L.B(ぐるぐる回転する・レーザー・ビット) かわせるかーッ!!」

 エーリッヒの怒声と共に、ハイベリオンの巨体から丸い玉が放出される。
 G.L.B(ぐるぐる回転する・レーザー・ビット) それはハイベリオンにとって最大の武装兵器。
 ハイベリオンを駆るエーリッヒとて、通常の人間相手にこれを放ちたくはない。
 対峙する敵は、確かに人間に見えるから。

 だが、そんな事など、構わないかのように……。
 銀髪の老剣士は、二刀の太刀を持ってビットを見据える。
 そして……。

「奥義 「西行春風斬」!!」

 老剣士は神速のスピードで踏み込んだ。
 その踏み込みを瞬時に往復を二回繰り返し、舞散る桜花と共に春色の剣閃を迸らせる。
 そして次の瞬間。ビットが全て真っ二つになり、使い物にならなくなっていた。

「これが東方の国における剣士…… サムライだというのですか」

「応。しかし今の攻撃…… 見事であった」

 老剣士は、その周りに在った魂のような細長い物体を抑えて蹲る。
 レーザーによって貫通したそれは、黒い穴がポッカリと空いている。
 エーリッヒは彼に問う。
 
「あ、貴方の名前は一体なんなのですか」

 老剣士は答えた。

「庭師、魂魄妖忌」


東方香霖堂〜 Curiosities of Lotus Asia
東方封魔録〜 the Story of Eastern Wonderland
秋霜玉
稀翁玉
幡紫竜
東方紅魔郷〜 the Embodiment of Scarlet Devil(おまけtxt)
東方妖々夢〜 Perfect Cherry Blossom(キャラ紹介txt)
東方永夜抄〜 Imperishable Night(キャラ紹介txt)
東方文花帖〜 Bohemian Archive in Japanese Red(書籍版)
竹取物語




 東方漢乃宴
(恐らく)永遠に未公開






 〜了〜


 解説。

 ・森近霖之助   →霊夢と魔理沙などに物を盗まれてく、幻想郷では珍しい「迷惑じゃない」存在。
 ・玄爺      →旧作で霊夢が乗ってた亀。
 ・ゲイツ     →秋霜玉のボス。体験版にも登場。
 ・エーリッヒ   →VIVITの御主人様。幡紫竜の1面ボスでもある。
 ・ヴラドツェペシュ→実在の人物。東方ではレミリアに影響を与えている?
 ・西行法師    →実在の人物。東方では千年前の歌聖。
 ・中臣史     →実在の人物。東方では妹紅の父親。なお輝夜が彼を馬鹿にしたという記述は作品中どこにもない。この作品では実は愛し合ってた事になってるらしい。
 ・魂魄妖忌    →妖夢のお師匠様かつ爺。半人半霊。



嘘SS.東方褌一丁




 チェキ空プレゼンツ。
 東方嘘予告シリーズ第四弾



 幻想郷にある、とある人里。
 ここには「霧雨」という魔法使いの一家が住んでいました。
 霧雨の主人は「霧雨の親父さん」と呼ばれ、適当に襲ってくる妖怪から人里を守ったり
 人間と妖怪のハーフを弟子にとったりして、分け隔てなく接していました。
 そのため人里の関係者に深く親しまれてる一家でした。

 しかし霧雨家には、”ある鉄の掟”があったのです。

「イヤダ! 私は褌なんか履かないぜ!」

「何を言うんだ魔理沙! 14歳になったら褌を履くのが霧雨の掟なんだぞ!?」

「そんな掟知らないぜ! 親父と香霖の趣味じゃないか!」

「そうか、そんな娘は勘当だ! とっとと出てけ!」

「霧雨の親父さん!?」

「ああわかったぜ。出てってやるよ!」

 こう言って後取り娘の魔理沙が実家を出て行ったのが、数年ほど前。


 そう、霧雨家は14歳で成人したら褌一丁で歩き回らなければいけない鉄の掟を持つ家系でもあったのです。


 東方褌一丁 Loincloth fellow

 (このSSはあくまでフィクションです。実際の東方Projectとは何の関係もありません)




 数年後。
 いつものように博麗霊夢が、ノンビリ過ごしてた昼下がり。
 幻想郷で最も東の方に存在する博麗神社に、珍しい客が訪れた。

「あら、珍しい。霧雨の親父さんじゃないの」

「ははは。久しぶりだね霊夢ちゃん」

 神社に姿を現したのは、人里に住んでいる霧雨の親父さんだった。
 妖怪染みてるとはいえ一応人間の範疇に入る霊夢も、極稀に人里に降りていく事もある。
 その際に霊夢と霧雨父は知り合ったのである。
 霧雨父の服装は、当然霧雨の正装である褌一丁である。

「今日はね。ウチのバカ娘を探しに来たんだ」

「霧雨の親父さんのバカ娘……? 心当たり無いわね」

「魔理沙っていう黒い服を着たお転婆娘なんだがね」

「ああ、魔理沙ならいつも此処に遊びに来るから、適当に待ってれば来るんじゃないのかしら?」

「そうか。なら悪いけど待たせてもらうよ」

 そう言って霧雨父は、縁側に腰を降ろすのだった。


 魔理沙を探す霧雨父。
 その目的とは。



「よう霊夢。遊びに来たぜーっ」

 魔理沙は箒にまたがり、いつもの様に全速力で神社の元へ向かった。
 だが霊夢の横の縁側に座っているのは、魔理沙が最も恐れる人物だった。

「久しぶりだな。魔理沙」

「ゲーッ! 親父!? おい霊夢! 何でコイツが神社に居るんだ!?」

「さあ、魔理沙に用があるって言ってたわよ」

「霊夢ちゃんの言うとおりだ。さあ褌一丁になるのだ」

「ふざけんな! 私は褌一丁にはならないぜ!」

 魔理沙は箒をUターンさせて、神社から逃げていく。

「いつもウチのバカ娘が済まないね霊夢ちゃん。それじゃ」

 逃げる魔理沙を見た霧雨父は、霊夢に軽く会釈すると、魔理沙を追いかける。
 その速度は、魔理沙のそれを遥かに凌駕する物だった。

「くそっ、流石に早いぜっ!」

「これが年季の差だ、魔理沙よ!」

 このままでは追いつかれると判断した魔理沙は、スペルカードを懐から取り出す。
 窮地にスペルカードをケチらない、それが弾幕少女の掟である。

「ブレイジングスターッ!!」


 霧雨家の掟。
 褌一丁ッ!!



「お、お前は香霖!」

 魔理沙の前に現れたのは、霧雨父の弟子である香霖こと、森近霖之助だった。
 彼が身につけているのは、愛用の眼鏡と褌一丁だけだった。

「魔理沙。褌一丁になるんだ!」

「冗談じゃないぜ! 褌一丁なんて嫌だぜ!」

「そうか。ならば仕方ない。ここは”愛称連合”の仲間達を呼ぶしかないな」

「愛称連合だとぉ!?」

「うどんげーッ! 中国ーッ!」

 霖之助の号令は、マジックアイテムによって幻想郷全土に響き渡った。
 その声は紅魔館と永遠亭にも届いていた。

「香霖さん!!」

 すぐさま駆けつけた”愛称連合”。
 鈴仙・優曇華院・イナバこと、うどんげと
 紅美鈴こと、中国。
 そして二人とも褌一丁だった。
 映像化すればR20は下らないエロシズムを誇っていたが、その描写はあえて避ける。

「くそっ。中国と鈴仙を味方につけやがったか!」

「ふふふ。魔理沙、君も褌一丁になるがいい」

「そうよ。褌一丁になって狂うがいいわ!」

「褌一丁になって門番の痛みを知るがいいです!」

「冗談じゃないぜ! そんなのはお前らだけでやれ!」


 魔理沙を褌一丁にすべく襲い掛かる刺客達。
 孤立無援の戦いッ!!
 果たして魔理沙は生き残る事が出来るか





東方褌一丁

Loincloth fellow



 連載予定無し。


 〜了〜



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