1・幽香さんの幻想郷縁起



 第百二十二季、正月。
 人間の里にある稗田家。
 この家の当主である稗田阿求は、何とか幻想郷縁起も去年中に出す事に安堵していた。
 本来なら夏に出る予定だったのが、完成が遅れて最終的には年末になったり
 正式に発表される一週間ほど前に一部で完成品の内容が流れてたりと、色々あったが一安心である。
 幻想郷縁起の完成が遅れた理由は、人妖の絵を書くのに苦労したとか、そういう話があるが、その辺については阿求は触れようとしなかった。
 気にしたら負けだ。

 のんびりと阿求が紅茶を啜っていた所で、阿求の部屋に稗田家の使用人が入ってきた。

「阿求様。お客様がお見えになりましたが……」

「お客様……。誰かしら?」

「花屋の娘の方です」


―――――


 花屋の娘は紅茶を啜りながら、阿求とテーブルを挟んで向かい合っていた。

「ねえ、阿求ちゃん。あの本見たけど、何で私の項目がないの?」

「うーん。冴月は、別に妖怪退治とか積極的にしてるって訳でもないからかな? ほら、今の人間の里って強い妖怪が襲ってくる事ないじゃない」

「紅霧異変の時は吸血鬼を退治しに行こうと思ってたよ。結局、行かなかったけど」

「結局、行かなかったからね」

 阿求は、テーブルの向こう側に座っている花屋の娘を一瞥してから、飲みかけの温くなった紅茶を飲み干した。
 確かに阿求の眼の前に居る少女は、本当に”人間の中では”強い方に入るとは思う。
 多少の戦闘力スペックの差を無視出来るスペルカードルールの上においては、吸血鬼が相手でも勝利する可能性もある。
 ただこの少女、人間の里から、余り外へ出ないのである。
 そこが博麗の巫女らとは大きく違う。

 花屋の一人娘であり、阿求と同年代でもあるこの少女の名前は、冴月 麟と呼ぶ。
 スペルカード”花符””風符”を自由に扱うらしいが、人間の里から余り出ない為、発揮する機会が無く、どこまでが本当かは不明である。

「ほら、幻想郷縁起は、どっちかって言うと妖怪がメインだし。人間は妖怪退治の英雄という事で掲載してるから」

「でも竹林の向こうにある永遠亭の輝夜さんについては掲載してるよね。あの人、引きこもりのダメ人間だって話だよ。英雄じゃないよ」

「誰から聞いたの? それ」

「竹林に住んでる健康マニアの焼鳥屋さんから」


―――――


 冴月は、床に寝転がって幻想郷縁起を読んでいた。
 完全に友人の家に遊びに来た子供である。

「そういやさ、阿求ちゃん。私だけじゃなくて博麗神社に取り憑いてた悪霊とか、巫女さんが乗ってた亀とかも載ってないね」

「ああ、そういや九代目になってから見てないね。昔は居たけど今はどうなのかな。目撃談を聞かないし、別にいいやと思ってたからね」

「でも霊夢ちゃんが里に買い物に来た時、”玄爺は神社の横の池でボケてる”とか言ってたよ」

「まっ、長生きしてるしね。あの亀」

「あと幽香ちゃんの欄の危険度・人間友好度が、こんなに高いのはちょっとおかしくない? あの妖怪さん、私んちの花屋にもよく来るけど、そんなに怖くないよ?」

「まあ色々あったのよ。本当に色々と」


―――――


 元々、風見幽香の欄は、せいぜい「危険度・中、人間友好度・普通」くらいになるはずだった。
 確かに彼女の戦闘力は凄まじい物があるが、彼女は弱い存在に余り興味を持たない。
 喧嘩さえ売らなければ普通の人間が襲われる事はまず無いのだ。

 しかし、幽香は少々見栄っ張りだった。


―――――


 第百二十一季。
 この頃の阿求は、幻想郷縁起の執筆に精を出していた。
 そんな夏のある日の事である。

「阿求様! お客様がお見えになりましたが……」

「お客様……。誰かしら?」

「それが…… 妖怪の方という事で……」


―――――


 訪問してきた妖怪、風見幽香は阿求の部屋に入るなり、幻想郷縁起の自分の欄を読んでいた。
 最初はにこやかだった幽香の表情が、どんどん不愉快を感じている形相へと変わっていく。

「何よ、これは」

「何よ、と申されましても……」

「生意気だわ。これじゃ、私がみんなのお友達みたいじゃないの。人間も妖怪も虐めるのが私の日課なのに!」

 変なベクトルで怒りを感じているようだが、その辺は人間じゃない者の思考回路という事で置いておく。
 とりあえず、これ以上、怒らせない方が良いだろう。

「じゃあ、適当に訂正して行かれても構いません。後はお好きな様に」

「あらそう? じゃあ、そうさせてもらおうかしら」

 そして、幽香は筆を取ると幻想郷縁起の内容を書き換えていった。

「危険度は極大。人間友好度は、最悪とかいう項目作っちゃえ。巫女が私を退治した、という話は眉唾…… これで良し」


―――――


 そして話は、約半年後の現在へと戻る。
 冴月は幻想郷縁起を読み終えて、再びテーブルを挟んで阿求と向かい合っていた。

「でも、この幻想郷縁起を見れば、今の幻想郷が平和だって事が分かるよね。外の世界から来た人に見せたらビックリされたよ」

「人食いを忌み嫌う風習が日本人にはあるしね。まあ人間が死んだら妖怪も困るから襲われないというのも大きいけど」

「里にも妖怪退治をする人間とかも居るしね。私とか」

「今年は大きな異変が起こりそうだしねぇ。次も博麗の巫女や魔法使いが動くんだろうけど、それに乗じて異変解決とかしてみたら?」

「考えとく」

 去年は妖怪が静かだった所為もあって、今年は大きな異変が起こりそうだが、その時は冴月も異変解決に乗り出すのかもしれない。
 「冴月 麟」という同姓同名の妖怪が現れるのかもしれない、が、その可能性は置いておく。
 今年はどんな異変が起こるのだろうか。
 香霖堂の店主が河童河童言ってる辺り、彼は河童と人間のハーフとかいう噂が流れてるが、それと関係があるのだろうか。


―――――


 一方その頃。
 博麗神社の湖。
 日傘を差している妖怪の少女が、湖の中を見やる。
 そこから一体の亀が、ひょっこりと現れた。

「ふぉっふぉっふぉ。久しぶりですの、幽香殿」

「お久しぶり〜、でアンタ誰だっけ? 亀って事は河童?」

「河童、だとしたらどうなされるおつもりですかな?」

「そりゃあ、今回で大きな異変を起こす黒幕とかいう事を考えてみたりとかかしら?」

 その瞬間、幽香は玄爺の口元が歪んだのを見逃さなかった。
 

―――――


 玄爺は河童なのか。

 今年に大きな異変を起こすのか。

 霊夢に食われずにすむのか。

 風雲急を告げる事態。

 一体、どうなってしまうのか!?


 (多分関係ない)


 オチないまま終わる。


2・橙さんと藍さんの幻想郷縁起





 第百二十二季、正月。
 幻想郷にある人間の里。

「ふわぁ〜あ。眠ぅ……」

 花屋の一人娘である冴月麟は、朝早くに起きて、眠気を堪えながら花壇で仕事をしていた。
 冴月の実家は、自家栽培で売り物の花を育てている。
 中には妖怪対策になる花もあるから侮れない。

 そうやって仕事をしている冴月に、声をかけてくる者も多い。
 と言っても、それは人間に限らない。

「おっ。朝から精が出るじゃないか」

 買い物カゴを持った金髪の女性。
 特徴的なのは、長い尻尾が九つも生えている事。
 明らかに人間ではない存在である。化け狐の妖怪である。

「はい、おはようございます」

 化け狐の女性に冴月は、目上の人物に接するように頭をペコリと下げて挨拶をした。
 妖獣というのは、強力な力を持つ者ほど尻尾の長さと数が増えるが
 明らかに九つの尻尾というのは、並大抵の物ではない。長さもかなり長い。
 出来れば人間の里で荒事を起こさない方が被害が少なくてよい。
 幸い力の強い妖怪ほど、頭が良い傾向になるので里を襲ってまで人間を食おうとする者はそんなに居ない。

「お買い物ですか?」

「ああ、ここの豆腐屋の油揚げは人間が作ったにしては中々イケルのでね。たまに買い物に来る事があるのよ」

「そうですか」

 ある程度、賢くなってくると泥棒行為を恥じる物だが、それは妖獣も同じらしい。
 化け狐の女性は、もう一度頭を下げると再び歩いて行った。
 空を飛べばいいのだが、それをやるのは淑女的ではない。


―――――


「うぅ。寒っ……」

 一通り仕事をやりおえて、冴月が自宅の中へ戻ってきた。
 既に両親は仕事で外へ出ていて、花屋の家には冴月が一人しか居ない。

「さて、冬は炬燵で丸くなるっと」

 冴月は、炬燵のある部屋へ向かい、その中へ潜り込もうとした。
 しかし、その中には先客が居た。

「ありゃ?」

 家には、冴月以外にも誰も居ないはずだ。
 だが、その中には確かに人間ほどの大きさの先客が居た。

「猫ちゃんが、炬燵で丸くなってるよ」

 炬燵の中に居たのは、猫の妖獣である化け猫だった。

「うーん。そういう迷信を信じちゃダメ!」

「迷信じゃ無いじゃない」

「猫は炬燵で丸くなる〜」

 化け猫は、そう言って炬燵の中で再び丸くなり始めた。

「そんなことより! とっとと、そこを出てよ。追い出しちゃうよ、猫ちゃん」

 そう言って抗戦の姿勢を見せる冴月に対して、化け猫はからからと笑った。

「人間が? 私を? 無理無理、あんたみたいなのが私にたてつこうなんて」

「試して欲しいのね」

 そして即座に冴月は、スペルカードを懐から取り出した。
 対する化け猫も、野生の勘で臨戦準備を整える。
 使用するカードは、両者とも一枚。速攻の構えである。

 先にカードを宣言したのは、冴月の方だった。

「花符「マタタビラクトン」!」

 冴月がスペルカードを宣言したと同時に、弾幕が飛び散る。
 一つ一つが、ワインダーを形成している、それは正に花火。
 そして、その弾の正体はマタタビだった。

「あっ。あいー!!」

 化け猫は、マタタビと見ると眼の色を変えて弾へと自ら突っ込んでいく。
 そしてマタタビ弾を咥えた瞬間。

「きゃー」

 ピチューン、という乾いた音が鳴り響く。
 同時に化け猫は酔っ払って、マタタビを食べるでもかじるでもなく、しゃぶり始めた。

「これぞ猫専用スペルカード。ちっと公平じゃない気もするけど、まあいいか」

 冴月は、一心不乱にマタタビをしゃぶってる化け猫の襟首を掴むと、玄関まで引きずって行き、
 そのまま外へたたき出した。

「これで妖怪退治終了っと。さて、弾幕ごっこで身体も暖まった事だし、阿求ちゃんちにでも遊びに行こうかしら」


―――――


「ふむ。今日も、結界の調子は万端だな……」

 先ほど冴月が挨拶した化け狐の女性は、一旦、自宅へ荷物を置いた後、また人間の里へやって来ていた。
 と言っても別に人間を食べるつもりは無い。
 結界の修復をしており、そして今やり終えていた所だった。

「今頃、紫様も外の世界であの方と楽しくやりながら、人間を幻想郷まで連れ込んでいる所ね」

 式神でもある彼女は、主の代わりに結界のチェックを行ったりもしている。
 例え人間は知らなくても、彼女自身は主人の多忙を知っている。
 だからこそ、こういう雑用は自分がやらないと行けないと思っていた。

「んっ? この匂い……、まさか橙か?」

 そして仕事も終わったんで自宅へ帰ろうとした時、彼女は妖獣の嗅覚で嗅ぎ慣れた匂いを探り取った。
 式にして式を打つ化け狐。その彼女の式の匂いである。
 彼女は、妖獣の中でも最強クラスの身体能力を生かして、その匂いの元へ飛んでいった。
 その元には、マタタビをしゃぶっている化け猫、橙の姿があった。

「あいー、藍さまー」

「おおっ、橙。人間にマタタビを投げられたのかい? 寒かっただろう」

 橙は、寒い中、酔っ払ったようにマタタビにむしゃぶりついていた。
 当然だが、人間も余り関わりたくないらしい。

「うみゃー」

 化け狐、藍は、橙の様子から人間に逆襲してやりたいという気概を読み取った。
 それが本当に橙の意思かどうかは知らない。

「本来なら、私も一緒に逆襲を手伝ってやりたいんだが、ダメなんだ。私がここの人間に手を出したら紫様に怒られてしまうんだ。分かっておくれ、橙」

「にゃはー」

「おお、そうか。ウチに遊びに来たいか、ようしいいだろう。ただ、紫様に迷惑かけちゃいけないぞぉ」

 藍は、橙の様子から八雲家へ遊びに来たいという気持ちを読み取った。
 それが本当に橙の意思かどうかは知らない。
 ただ、橙は妖怪の山に住んでおり、藍と、その主人とは違う場所で暮しているのだけは事実だった。
 それ故に、藍は橙が遊びに来る日を楽しみにしているのである。

「ようし、それじゃ行くぞ。今日はお稲荷さんだ」

 そして、藍は橙をおぶって、どこぞへと姿を消した。
 彼女達の家がどこにあるのか、幻想郷の中でも知る者は少ない。



3・メリーさんの幻想郷縁起




「紫様が、どこに住んでるかって?」

 阿求は、飲みかけのティーカップを机に置いてから、向かいに座る冴月に向けて言った。
 八雲紫とは、阿求が「妖怪の賢者」と呼び、畏怖の念を持つ妖怪である。
 現存する唯一の「スキマ妖怪」であり、強いのは確かだが、色々と謎がついてまわる存在でもある。

「うん。あの人、外の世界について詳しいんだよね」

「らしいね」

「ねぇ、阿求ちゃん。あの人を倒したら連れてってくれるかな」

「連れてってくれる、って外の世界に?」

「うん」

 冴月は曇り気のない声で言った。
 そんな無邪気な友人に対して、阿求は

「いやぁ。無理なんじゃないの?
 あの方が本気になれば幻想郷も潰せるという話もあるし、巫女とか霧雨魔理沙とかも相手にしたくないらしいし」

「もし勝ったら?」

「勝っても無理でしょ。それに、あの方の場合、行動の殆どが、幻想郷の秩序維持に繋がってるからね。
 人間の里の結界とか、外来人を神隠しにしたりとか、冥界と顕界の境界を曖昧にしたり……、まあこれは微妙か。
 ともかく、わざわざ幻想郷の存在を外の世界の人間達に教えるような真似なんかしないと思うよ。隙をついても幻想郷に強制送還されるのがオチじゃない?」

「ふーん」

 冴月はそう言った後に、紅茶を口につけた。
 やはり、稗田家の紅茶は絶品だ。

「で、結局、紫さんはどこに住んでるの? 阿求ちゃん知らない?」

「さあ? 巫女も知らないらしいし、あの方の場合存在その物が神出鬼没だからね」

「そっかぁ。でも、外の世界に住んでるとか、そういう話もあるよ?」

「幻想郷縁起の脚注にも書いたけど、そういう可能性も十分考えられるって事。幻想郷では、人間を積極的に襲わないから、外の世界で襲ってるんじゃないか? って話」

「結局、謎だらけって訳かぁ」

「あの人の場合、人間から妖怪になった可能性も考えられるからね」

「魔法使いのように捨食の魔法を習得したんじゃなくて?」

「じゃなくて、境界を弄れば出来ないとは言い難いのが、八雲紫という名の妖怪。その気になれば過去にだって戻りそうだしね。紅魔館のメイドにだって出来ない事だけど」

 阿求は、そこまで言うと、すっかり温くなった紅茶を飲み干した。
 その時、阿求はふと思い出した物がある。
 未解決資料の一つ。数百年前の御阿礼の子が拾った、外来人が書いたと思われるメモがあった。
 「携帯電話」「GPS」「夢の世界」「大昔の日本」「タイムスリップ」「魂の構成物質の記憶」、そして「蓮子」。
 先代からの記憶は、幻想郷縁起に関わる一部しか継承していない阿求にとっては全く意味不明の単語の羅列である。
 だが、しかし…… 何か引っかかる内容だった。


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 少女祈祷中...


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 2XXX年。日本。
 京都都内某大学、コンピュータルーム。
 ここに並ぶパソコンの一台を、一人の女性が占拠していた。
 モニターに浮かぶのは、紅い髪のメイド、無敵のシールドを張る戦闘機、そして空を飛ぶ巫女。黒い魔女。

「おっ。何、調べてるの?」

「うわっ。って何だ蓮子か」

「何だ、とは酷い言い草ね」

 蓮子と呼ばれた女性は、モニターに食い入るように見ている。
 辺りを埋め尽くす弾幕の数々は、蓮子にしてみれば、花火の様に見えたからだ。

「それで? 何、調べてるの?」 

「うーん。国家機密かな?」

「それ嘘でしょ」

「ええ、嘘ですわ」

 そう言って、パソコンに向かっていた女性は、パソコンの電源を落とす。
 それを見届けた後、椅子を回転させて蓮子に身体を向けた。

「それより聞いて、蓮子。また、妖怪に襲われる夢を見たのよ」

「また? そりゃ霊感の強い一家な事で。従姉妹は元気?」

「比良ちゃん? 比良ちゃんは元気に巫女してるらしいわ。巫女って何してるかは知らないけど、最近、エーリッヒ博士と知り合いになったらしいわ」

「エーリッヒって、あのサボテンエネルギーとかレッドストームとかのエネルギーを開発した人? 巫女って結構顔が広いんだね」

「らしいね。比良ちゃん。昔、お姉さんの礼夢ちゃんが神隠しにあって行方不明になったんだけど、それでも実家の桜崎家を継ぐって頑張ってるもの」

「目標がある人間は強いね」

「何やってるかはわかんないけど、結構、大変な仕事らしいわ。私は何をしてるかわかんないけど」

「本当に知らないのね、一応、親戚でしょ?」

「私には巫女の資格が無いってさ」

「まあ見るからにそうよねぇ。気味の悪い眼してるし」

「それは蓮子も同じですわ」

「でも、こう言っちゃ不謹慎だけど、今のご時世、神隠しにあって夢の世界に行った方が幸せなのかもねぇ」

「そうかもね。神隠しに遭う人は、破産した人とか、そういう人が多いみたいだし。誰かが起こしてるとか?」

「案外、神隠しを実行してるのは、一人だけかもよ? もし神隠しを行ってる人物にとって、どんなメリットがあると思う?」

「そうねぇ。神隠しに遭った人は、夢の世界へ行くのでしょうね。となると夢の世界の秩序維持のため?」

「あはははは。なるほど、そう来たか。それは面白い見解ね」

 キーンコーンカーンコーン

「あっ。チャイム」

「そんじゃ私は行くわ。遅れて行くと岡崎教授が五月蝿いんだよ。そんじゃ、またねメリー」

「ええ、蓮子……。あっ、そういや昨日、夢の世界へ行った時に書いたメモ落としてきちゃった。まあいいか」



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