今回こそうまくいくかもしれないわ。
 今度こそ神の力を従えた巫女さえ動けば、敵に勝ち目は終わらない。

 始めるわ。
 美しき幻想の闘い。

 第三次月面戦争を

「…………まずい、この紫さま……早く何とかしないと……」


 第三次スーパー月面戦争α
  〜終焉の地球へ〜



 以下、割と真面目かもしれない本編。
 レイセン回。




 −1−


 数十年前。

 レイセン。
 月の兎である彼女ですが故あって月の使者に身を置いてます。

 ご主人さまである豊姫さま。

「おなかがすいた。桃とってきて、5秒で」

「5秒!?」

 師匠の依姫さま

「おはようレイセン。これ今日の訓練ね」

「多!」

 月の兎たちに囲まれ充実した−−−

「みんなはたらけー! はたらいてー!」

 とサボる仲間を訓練させようと企むレイセンだったが、

「わー、またレイセンがなんかやってるよ」

「適当にやりゃいいんだよ。依姫さまに怒られなきゃいいって」

「それより八雲紫がまた出たそうだよー」

「えー、あいつ。まだ」

 充実した毎日を送っていました。

「ううう…朝から…」

「泣いてる?」


 −2−


 レイセン(初代)は都合によって性格を変えるが、根は真面目だった。たぶん。
 だから馴染めなかった。
 そういう事にしておこう。
 ダラけたグループ内で委員長タイプが居るとウザがられるとかあるでしょ。そんな感じ。

 ある日、レイセンは依姫に仕事を頼まれた。

「バカなことやってないで仕事しなさい。ちょうど、おつかい頼もうと思ってたところなのよ」

 という事でお使いへ生かされるハメになるレイセン。
 覚え書きを渡され、買い物へ向かう事に。

「さて、買い物の内容はと……」

・縄
・ムチ
・ローソク

「…おや?」

 のヮの顔でレイセンにSMプレイを仕掛ける依姫。
 縄で縛り、ムチで叩き、とけたローソクを垂らす。
 それが依姫の師匠であり、後のレイセンの師匠でもある月の頭脳の教えだったが、それは別の話。

「うう……依姫さまはやっぱり私には冷たいんだ」

 だがレイセンは真面目過ぎた。

「もう、こんな所飛び出してやるー! うわーん!」

 そうしてレイセンは月の都から逃げだした。
 月の羽衣を強奪し、地上まで逃げ出したのである。
 そこで出会ったのが月の罪人、輝夜姫と八意××様だった。

「月に敵が攻め込んで来てもう生活出来なくなった。
 そいつらは月に自分達の旗を立て、自分達の物だと言って好き勝手やっている」

 とレイセンは咄嗟に嘘をついた。
 人間が月に攻め入る? そんな馬鹿な事があるわけが無い。
 だが箱入りお姫様の輝夜はレイセンを信じてくれた。
 そしてレイセンは「鈴仙・優曇華院・イナバ」として名前を変えたのだ。

 鈴仙に懐疑的だった八意様も輝夜には頭が上がらないのが、なんとか弟子にしてくれた。
 八意様は主人だった豊姫さまと依姫さまのお師匠様らしいが、鈴仙はシラを切り通した。
 意外と抜けてるのが八意様もなんとか騙されてくれた。

 かくして鈴仙は、輝夜と八意様が暮らす「永遠亭」に居候として住みこむのだった。
 だが今に至るまで鈴仙は真実は全く語らない。

 輝夜と八意様が恐れる月の使者は、豊姫さまと依姫さまだ。
 いくら八意様が圧倒的とは言え、本気で抗争を始めたらタダじゃ済まないだろう。
 いや豊姫は「八意様を追撃する気はありません」と語っていたが、鈴仙が逃げ込んだ事で出くわす事がある。
 輝夜と綿月姉妹の関係も謎だ。見つかれば自分と輝夜が大変な事になる。
 だから鈴仙を嘘をついて居候として逃げ込んだ。

「ふ〜ん。妖怪兎なんてのは地上も月も変わらないもんだねぇ」

 そう呟いたのは因幡てゐだった。
 人間を襲わなければいけない妖怪でありながら、「幸運にする程度の能力」を持つ彼女は人間に「嘘をつく」という事で騙して被害を微量に与えていた。
 それ故にてゐは鈴仙から嘘つきの波動のような物を感じ取っていたのかもしれない。


 −3−


 それから色々あった。
 鈴仙が黙ってたせいで永琳は月を隠し始めたが、その結果幻想郷住人の襲撃を受ける永遠亭。
 だが、輝夜が幻想郷住人の影響を受けた事で永遠亭は幻想郷の一部となった。
 とりあえず良い事だと思う。


 一方、幻想郷住人の一匹である幼い吸血鬼が本当にロケットを飛ばしたのは、それなりに時間が経った後か。
 実際には鈴仙は全く無関与だったが、 よ っ ち ゃ ん 無 双 だったらしい。
 鈴仙は幻想郷の迷惑な巫女さん・博麗霊夢に「m9プギャー!」しようとした。
 だが、返り討ちにされた。

「そういえば、この間月の都に行ってきたけど……
 思ったより古くさい奴らばかりだったわね。
 伝統に胡坐をかいて進歩を忘れたんじゃないの?」

 とか霊夢は言ってたが、鈴仙にはただの皮肉にしか聞こえなかった。
 豊姫さまと依姫さまにもてなされたらしいし「あんた楽しんできたでしょ」とか負け惜しみ言おうとした。
 だが、それ言うと本当に兎鍋にされかねないから止めた。
 幻想郷では兎を食うのである。しかも大人気食材扱い。


 −4−


 それからある日の事。
 山の新人神様・東風谷早苗は博麗神社に居た。

「へえ……そんな事があったのですか」

 早苗は、霊夢と魔理沙から第二次月面戦争の話を聞いていたのである。

「してた」

「してたぜ」

 判を押したように同時に返す霊夢と魔理沙。

「そういや豊姫が蘊蓄垂れてたわよ。神奈子と諏訪子はフェムトなんたらで縛られてるんだって」

「まるで香霖みたいだぜ」

「あれ? あの神奈子様のしめ縄って”諏訪子様に勝ったどー!”と自慢するための象徴じゃなかったかしら?」

「後付け設定ね」

「後付け設定だぜ」

 こうしてフェムトファイバーはフェムトファイバー(笑)のまま終わった。
 だが、そんなダイジェストのような展開で終わるはずもなかった。
 そう永遠亭の物語は終わらなかったのである。
 むしろ終わって溜まるか。


 −5−

 ある日。
 鈴仙はこんな電波を受信した。


『幻想郷の地上人は月を侵略するとか言いだし、スペルカードを挑み始めた。
  依姫さまは、スペルカードを受けて余裕を見せつけ、きっちり責任を取らせたが、
  そこで後始末をさせた幻想郷の脇巫女から
  「罪人の輝夜姫とレイセン一号が幻想郷の竹林に住んでいる」と
  いう面白い話を聞いた。
  もう限界である。

  我々月の使者は、永遠亭に最後の全面戦争を仕掛ける事にした。
  今の状況では、戦力は我々の方が若干有利に見える。だが八意様の能力
  は我々の想像をはるかに越えていると豊姫さまは仰る。
  だが臆する事は無い、我々玉兎の月の使者隊には何千年も訓練してきた知恵と誇
  りがある。負けるはずが無い。

  レイセン一号、もうすぐ永遠亭は戦場となる。
  誇り高き我々に投降してくれないだろうか。

  そして、一緒に居ると思われる輝夜姫に伝えてくれ。

  次の満月の夜に貴女とレイセン一号を迎えに行く。
  抵抗しても無駄だ。』、と。


「ぎゃー!」

 思わず鈴仙は叫んだ。

「な、なに!? 今の電波……あれ? 豊姫さまと依姫さまって師匠を追いかけるの止めたんじゃなかったっけ? あれ? 何これ」

 錯乱する鈴仙。
 シン、話を聞くな。鈴仙は錯乱している!

「鈴仙……うっさい!」

 そこに現れたのは、てゐと手下の因幡達だった。
 
「て、てゐ……あれ? 一号って何?」

「ああ、鈴仙は一号らしいよ。ちょっと前に二号と話した。お師匠様に手紙を渡してくれって頼まれた。なんとも頼りない」

「は? あんた、そんな話とか一切してなかったじゃない」

「鈴仙が死んでも代わりは居るもの」

「……しーしょ! しーしょ! たすけてしーしょ!」

 竹取飛翔のBGMに合わせ、叫びまわる鈴仙。
 「たすけてえーりん」とか言いたいが無理である。


 −6−


「そいつは大変だわ!」

 輝夜は鈴仙の話を聞くなり、そう返した。

「で、何が大変なの?」

 だが輝夜は状況が呑み込めてなかった。
 永遠の術を説いた事で彼女は平和ボケしてしまったのである。元からかもしれんが。

「だからこのままだと私と姫様は強制送還なんですよ!」

「な、なんだってー!?」

 ゴトッ。

 鈴仙の話を聞いて、まず何よりも大きな音がしたのは窓の外だった。
 とりあえず覗いてみると、そこに居たのは永遠亭の住人も見知った白髪の少女だった。

「あ、あんたは……」

 藤原妹紅。
 何故か知らないが、輝夜をつけ狙う謎の少女(約1300歳)である。
 その理由は鈴仙も知らない。
 輝夜は「妹紅の家にあった漬物を勝手に食べたからかしら?」と言ってるが、前は「干し柿を食べたから」とか言ってた気がする。

「ちょっ、輝夜……お前……月へは帰れないんじゃなかったか?」

「ええ、そうみたい。月へ帰れると思ってたけど、帰ったら嫦娥よろしく幽閉みたい」

 その話を聞いて輝夜は割とショックだった。
 とっくに罪が許されてると思ったからだ。
 まあ、それは置いておく。

 で、輝夜の話を聞いた妹紅はというと……。

「……ふっ。お前が月へ帰ろうが私の知った事じゃないが、お前を殺すのはこの私だ。それだけは覚えておくんだな!」

 とか言いだした。

「何が目的なのかしら」

「どうせ後で助けに来るんでしょ」

「ああ、なるほど。”私にデレ期はない!”ね」

 どこのむちきん係だ。
 という事で妹紅はリグルを倒して帰った。それだけ。

 こうして永遠亭VS綿月姉妹+玉兎軍団の抗争が幕を開けたのである。
 そう、第三次月面戦争である。


 −7−


 だが永琳はどこかへ失踪していた。

「な、なんだってー!?」

 鈴仙・てゐ・輝夜の永琳を探す探求の旅が始まる。


「豊姫と依姫が攻めてくる? 知ったこっちゃないわよ。幻想郷は領土とか言ってたし、別に潰す気はないんじゃないの?」

「ちょっ? あんた、それでも幻想郷の抑止力的な存在か!?」

「霊夢は捨て子な普通の人間だぜ」

 動かない主人公!


「この味は嘘をついてる味だよ……鈴仙」

「ッ!?」

 汗をなめられる鈴仙(そこまでよAAry


「くっ! 新難題が効かないなんて……」

「この素粒子扇子の敵ではありませんよ、輝夜姫」

「ふっ! 苦戦しているようだ、輝夜!」

「あ、あんたは……!」

「お前を殺すのはこの私だ!」

 あれは劇場版ベジータか!? それともピッコロさんか!?
 そんなノリで助けに来る妹紅!


「里は私に任せてくれ。とりあえず素粒子にされても歴史だけは隠しておく」

「ああ、任せたぞ。慧音」

 とりあえず防衛能力だけは高いと思う慧音先生!


「私の神様は八百万まであるわ」

 そしてよっちゃん!
 対峙するのは……。

「ふん、神降ろしとか巫女の元ネタとか言うなら自機にでもなればいいのに。
 そうですわよね。神奈子様、諏訪子様」

「よく言ったわ、早苗」

「それでこそ新人神だね」

 なんという常識に捕らわれない新人神!
 早苗VS依姫!

「感謝して欲しいですね。貴女がその力を手に入れたのは月人のお陰なのですよ、東風谷早苗」

「神奈子様を縛り、諏訪子様を縛り、そして今また私の前で神を気取るつもりですか!?」

「いいえ、神そのものです」

「そこまで地上人を支配したいのかしら?」

「私達が上位に居なければ地上人は戦いを止められず滅びてしまう。救世主なのです、月人は」

「共に歩む気はないと?分かり合う気はないのかしら?」

「地上人が自分達の都合で幻想郷を認識しているのと一緒ですよ。
 そして……人気投票4位に輝いたあなたに打ち勝てば私の有用性は不動のものとなる」

「はっ、霊夢さんの言ったとおりですね。そのエゴが古臭い。貴女が行った再生をこの私が破壊する!」

「貴女を倒せば全てが終わる。
 つまり、貴女で最後なのですよ、タケミナカタの巫女」

「ふん。REX的にポジションがおっくんの癖に。
 仁きゅん×おっくんに期待してた私としては残念だったわ」

「実際に穢れを扱ったのは紅白の巫女ですがまあいいでしょう……
 ならば、そのおっくんで勝負してあげましょう。彼もまた神様なのですから」

「おっくん×よっちゃん……最悪の組み合わせね。
 私が負けたら色々と後が無いみたいじゃない!」

 いつの間にか、か○なぎネタもあるぞ!

「綿月依姫……ダブルオーズマー……」

「東風谷早苗……サナーエキャノン……!」

 そうだ……私が……。

 私達がッ!

「行く!」「出る!」

 私達が神降ろしだ!


『依姫。
 この駄文をあなたが読むことがなくても、それでもあなたへの思いを綴らせて下さい。
 漫画版のオリキャラとして戦いを強要され、戦場の中でしか生きることができなくなったあなた。
 平和を求める気持ちは私もあなたも同じなのに…分かり合っているのに…どうして幻想郷とあなたの道は交わらないのでしょうか?
 あなたが武力を行使して月の都を守ろうとしている。
 もしそれが実現できたとしても、あなたの幸せはどこにあるのでしょう?
 批判を受けて傷ついて、それでも戦い続ける。
 そんなあなたの生き方がどうしよもなく悲しく思えるのです。
 自分の中にある幻想郷観を他者と共有し、それが合わなければ距離を置くことが本当の平和に繋がると私は考えています。
 だからどうかあなたもあなたの世界を掴んで下さい。
 依姫、あなたに幸せが訪れることを私は祈っています』

 

 そして鈴仙はもう一人の自分と対決する。

「あんたがもう一人の私……レイセン二号ね……」

「あの……どうもです」

「問答無用! うどんパンチ!」

 スカッ!

「これは……狂気を操る程度の能力ッ! 同じタイプの能力ッ!」

「いや玉兎だし」


 −8−


 激突する2羽の月のイナバ。
 そして永遠を知る……。

 輝夜ッ! 永琳ッ! てゐッ! 鈴仙ッ!
 お前たちの物語はまだまだ続く!
 幻想郷を愛する者が居る限り、戦い続けなければいけない!

 運命から……。
 死から……。
 そして須臾からは逃れられない。

 その果てに二羽のレイセンは何を見るか。
 そしてダブルオーズマーVSサナーエキャノンの勝敗は!?


 第三次スーパー月面戦争α
  〜終焉の地球へ〜


 −9−


                 ・
                 ・
                 ・

               う ・ そ
          (靈異伝or竹本泉っぽく)

 あくまで4月1日ネタとしてジョークやりました。
 「嘘予告」としてのネタという事で。


 −あとがき−

 ダブルオーズマーVSサナーエキャノンやりたかった。今は反省している。

 う ・ そ。

 最初は早苗を押し出す気ありませんでした。
 とりあえず綿月姉妹と二号出さなきゃいけないと思ったら、よっちゃんが早苗ちんと戦ってた。
 あれ? なんで早苗出るんだ。

 オーズマー(おっくん)は、「ナギ様の元カレ」という事で。
 本当、彼はもっと評価されるべき。
 結構好きだけに残念。

 久々にノリでSSもどき書いたけど、やっぱ楽しいっすね。
 どうせ予告編なんでサクサクいけます。

 まあ永遠亭掘り下げは二次創作でやるという手もあるんじゃねーっすかねという提案もどき。
 個人的には儚月抄の出来についてはあんまりフォロー出来ないけど、まあ設定は捨ておくのももったいない。
 そろそろ終わるのだし、二次創作で頑張るという人が居れば陰ながら応援したいですね。
 永遠亭の新しい未来は儚月抄にある、かもしれない。

 悲観的に考えない方がいいって神主も言ってるしね。

 とりあえず、これエイプリルフールの嘘予告ネタです。
 本編はきっと書きません。
 ですが久々にSSかけて良かったです。



 東方SS目次

 トップページ

inserted by FC2 system